中国・湖南省で絶対に食べたい「黒臭豆腐」と「米粉」の味

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 中国の中南部、長江の中下流に位置する湖南省は、共産党の指導者だった毛沢東の故郷としても知られる。しかし、中華料理好きの日本人にとっては、「あの辛い料理の地域」という印象が強いのではないか。昨今は日本でも湖南料理が人気で、東京都内では「湖南料理」と看板に掲げた飲食店を見かけることは、珍しくなくなったが――。

  ◇  ◇  ◇

 記者が湖南料理と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、剁椒魚頭(ドゥオジャオユートウ)。大きな川魚の頭を開き、発酵させた唐辛子のみじん切りを大量にかけて蒸す。ツルンとした魚の身に発酵唐辛子のうま味が加わり、酒も進めば、ご飯も進む。残った汁に麺を入れて食べるのも楽しみだ。

■料理がおいしすぎて困る

 発酵させたササゲ(インゲンのようなもの)を唐辛子とひき肉で炒めた酸豆角炒肉泥(スアントージャオローニー)も外せない。やはり、酒やご飯が進む。「四川人不怕辣、湖南人辣不怕、貴州人怕不辣(四川人は辛いのを恐れない、湖南人は辛くても恐れない、貴州人は辛くないことを恐れる)」ということわざもある。今回湖南省に行くにあたり、日本で食べる数倍の辛さを本場で体験するのだろうと予想していたのだが、いい意味で裏切られた。

「辛い料理もある。でも、辛くない料理もたくさんあります」

 省都、長沙で出会った“当地人(地元民)”の言葉だ。

「湖南省に来てから太った。料理がおいしすぎて困る」

 これは、別の地域出身で、長く湖南省に住んでいる人の言葉。いずれも今、心からうなずける。

 湖南省で記者のイチ押しは、臭豆腐(チョウドウフ)だ。豆腐を発酵させた加工食品で、揚げたり煮たりして食べる。日本でも臭豆腐を食べられる店はあるが、記者が知っている限り、茶色い臭豆腐。

サクッ、トロッと、まるでたこ焼き

 一方、湖南省・長沙市名物の臭豆腐は炭のように真っ黒。

 記者は臭豆腐が大好き。中国のほかの地域や台湾で食べたものは“茶色”だったので、いつか湖南省の真っ黒な臭豆腐を食べたいと、長く切望していたのだ。念願かなっての黒い臭豆腐は、サクッ、トロッという、例えるなら、たこ焼きのような食感。濃厚な大豆のうま味で、トリコになった。毎日食べたが、物足りない。黒い臭豆腐のために、湖南省通いをしたいと思っている。

「米粉(ミーフェン)」にもハマった。文字通り米を原料にしており、断面が丸いものと、平たいものがある。ベトナムの麺のブンとフォーのような感じだ。肉をホロホロになるまで煮たのをのせ、醤油味のスープをかける。これ自体に辛味はなく、香菜、発酵ササゲ、発酵させた唐辛子、刻んだレンコンなどの無料トッピングで、“味変”できる。“スープあり”と、タレの上にゆでたての米粉を入れ、よくかき混ぜて食べる「干拌的(ガンバンダ)」のどちらも食べたが、記者は後者が好み。

 湖南省の中でも、長沙、岳陽、桃源、張家界と移動し、食事をした。「地元で採れた食材です」と出してくれた料理はいずれも素材の味がしっかりしていた。特に、野菜。ジャガイモの炒め、インゲンの炒め、ピーマンと豚肉の炒め、ナスの炒め、青菜の炒め……とシンプル極まりない料理が、実に最高の味だった。鶏のさまざまな部位が入ったスープや、魚の頭が入ったスープなどを、ご飯にかけて食べるのも、シメに欠かせず……。冒頭の言葉じゃないが、数日間の滞在で太った。

 日本では食べられないものばかり。たくさんできている湖南料理屋でも、だ。日本から長沙までの直行便の所要時間は、東京発なら行きは平均4時間40分、帰りは平均3時間30分、大阪発なら平均3時間40分ちょっと。辛いだけじゃない湖南料理の魅力を、本場で体感してはどうか。 

アバターの世界を目の当たりにできる

 湖南省の魅力は、もちろん料理だけではない。世界中で大ヒットした映画「アバター」の惑星のモデルとなった「武陵源」には、200メートルの巨大石柱が3000本以上そびえ立つ。世界遺産に登録されており、全て見て回るなら数日間かかる。天門山ロープウエーと百龍エレベーターも迫力満点でお勧め。



 少数民族の風習が分かるショー「魅力湖西」(張家界)、東晋末から南朝宋にかけて活躍した詩人、陶淵明の「桃花源記」の実景劇(桃源)も、必ず押さえたい。宝塚好き、演劇好きなら百パーセント満足するだろう。なお、桃花源は中国の理想郷ともいわれ、時間をかけて散策したい。

 ほかにも、中国4大書院の1つ、岳麓書院、簡牘博物館、望城銅官窑遺跡、汨羅屈子祠など、見どころはいっぱいだ。

(取材・文=和田真知子/日刊ゲンダイ)  

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