世界農業遺産が冠水…台風19号「食のブランド」にも大打撃
安倍政権の農産品輸出促進にも大打撃だ――。台風19号は世界農業遺産の農地「大崎耕土」に甚大な被害をもたらした。大崎耕土は、宮城県北部の大崎平野に広がる農地。ササニシキやひとめぼれの発祥地で、大豆の生産額は本州一の大穀倉地帯だ。
中世以降、受け継がれる巧みな水管理基盤などが評価され、2017年、国連食糧農業機関(FAO)から「世界農業遺産」の認定を受けた。
台風19号で吉田川の堤防が決壊し、大崎耕土の一部が浸水。現在、ポンプでたまり水を排水しているが、なかなか水が引かない。
農水省から大崎市産業経済部の世界農業遺産推進監に出向している武元将忠氏に現地の状況を聞いた。
「地方創生として、大崎耕土で取れた農産物をブランド化して販売する取り組みをしています。富裕層や輸出向けに1本1万円するトマトジュースの原料となるデリシャストマトがあるのですが、今回、ビニールハウスが冠水してしまいました。9カ月ある摘み取り期間は、半月前に始まったばかり。冠水したトマトの今季の出荷は厳しい。また、大豆はちょうどこれからが収穫期。一度浸水するとアウトなので、大変心配しています」