専門家が分析「住みたい田舎ランキング」人気の3市の魅力
宝島社の「住みたい田舎ランキング」が発表されて話題になっている。注目は50歳以上が対象の「シニア世代が住みたい田舎部門」。昨年2位だった山形県酒田市が今年は1位に躍り出た。何が魅力なのか。
酒田市は「60歳のリタイアを目前にした首都圏の方が『移住したい』と相談に来るケースが増えています」と説明する。
「当市は鳥海山を一望でき、庄内平野で作ったお米や、日本海で取れる魚がおいしい。今の時期は寒鱈が最高です。県のHPを通じて仕事を確保した人のうち、東京23区からの移住者に100万円を支給する支援制度もあります」(同市地域共生課)
「若者世代が住みたい田舎部門」のトップは愛媛県西条市。昨年の5位から躍進した。若者世代は10~30代の人たちだ。
「『地域おこし協力隊』を4人から13人に増やし若い移住者が起業できるよう支援しています。市内にフリーランサーが月額3000円で使える『コワーキングスペース』を設置。地元の果物をジュースにする農業支援の専門家などになってもらえるよう応援しています」(西条市移住推進課)
住宅改修費の3分の2を市が補助。最大で400万円という大盤振る舞いも喜ばれている。2018年度は4組11人が移住し19年度もすでに4組の移住が確定している。
全世代を通じての評価が高い「総合部門」の1位は山口県宇部市だ。同市はシニア世代部門の2位にも食い込んでいる。
「昨年の15位から1位になったのでビックリしました。当市は南北に縦形に延びていて、南部には空港や海水浴場、北部には片倉温泉などがあります。市内に山口大学医学部の付属病院があり、開業医の数が全国平均以上なので安心です。看護師や理学療法士などの専門人材の移住に力を注いでいます」(政策企画グループ)
各自治体が人集めに知恵を絞っているわけだ。
旅ジャーナリストの間貞麿氏はこう言う。
「酒田市はこの数年、『飛島』という離島が移住先として注目されています。そばを対馬海流が通っているため積雪が10センチ以下と東北にしては暖かく、古くからの港町なので島民はよそ者を排除しません。西条市は起業のための資金援助もしてくれるので若者にとっては大きなメリット。宇部市は市街地のそばに山口宇部空港があり、料金の安いスターフライヤーも飛んでいる。東京に行きやすいのが魅力です」
宇部市のように1週間1万3000円で「お試し住宅」に宿泊できる制度もある。有給休暇を取って暮らしてみるのも悪くないだろう。