カトープレジャーグループ加藤友康社長「心得帖」シリーズにすべての答えがあった

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近大卒業と同時に家業を継承、周りは壁ばかりで…

 五輪イヤーの今年は、訪日外国人観光客が3600万人に上るという。レジャー業界はもちろん、あらゆる業界がインバウンド需要の取り込みに沸いている。そんな中、今回登場のカトープレジャーグループ・加藤友康社長(54)は、近大を卒業した1987年、父が起こした事業を引き継いで社長に就任。今やホテルや旅館、リゾート、スパ、レストランなどを幅広く手掛け、年商200億円を超える大企業に成長させた。敏腕経営者が頼りにしたのは、経営の神様の教えだった――。

  ◇  ◇  ◇

「父が創業した『加藤商事』は洋服屋で、近畿大学在学中から家業の手伝いをしていましたから、仕事のやり方はなんとなく父の背中を見て把握していたつもりです。ところが、父が早くに亡くなり、いざ事業を受け継ぐことになると、具体的なノウハウがなかった。ここ10年で日本にもベンチャー企業ができてきて、20代の社長は珍しくなくなりましたが、バブル真っ盛りの89年に20代社長はいなかった。困りましたよ。それで、本を読み漁って、心にスッと入ってきたのが、松下幸之助さんの『心得帖』シリーズです」

 社内はもちろん、得意先も、仕事でかかわる人は人生の先輩ばかり。父の友人をはじめ会社のベテランに仕事のイロハを教えてもらった。仕事を終えてページをめくった経営の神様の教えは、経営理念の構築に役立ったという。

「そこに書かれているのは、ノウハウではなく、考え方です。たとえば、『経営心得帖』には、マネジメントのあり方が書かれています。『人生心得帖』には、人として生きていくには、どうあるべきかという命題の答えがたくさんある。社長に就任してから周りは壁だらけでしたが、心得帖のシリーズを読んだら、すべての答えが見つかったのです」

 あちこちに付箋が貼ってあり、気になる文章にはマーカーが引かれている。何度も読み返してボロボロになったため、社長就任当時の版とは別に新しい本を買い直したそうだ。

「このシリーズは、新入社員にも薦めています。毎月開く僕の塾では、その中の一節からレクチャーすることもある。たとえば、付箋を貼ったところのひとつ『健康管理も仕事のうち』という一節からは、『自己管理の大切さ』を社員に伝えたと思います。さらに『楽しんで仕事をすることが大事』とつけ加えたはず。そうやって幸之助さんの理念を僕なりの言葉で表現したのです。人の理念は、昔も今も100年後も変わらないと思うので、そういうものを自分の言葉で具体的に表現することは、大事だと本を読んで気づいたのです。会社の理念もそう。そこがブレなければ、会社は成長していきます」

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