都内の飲み屋街は風前の灯…「緊急事態宣言」発効前夜ルポ
「居酒屋に休業要請が出ると聞いたので、しばらく行けなくなるなと思い、軽く顔を出してきたんですよ」
東京都内屈指の赤ちょうちん街・新橋。7日午後7時すぎ、居酒屋が集中する西口通りにある小さなダイニングバーから出てきた60代男性会社員は、本紙(日刊ゲンダイ)にこう話した。「これから2軒目ですか」と聞くと、「いやいや、もう帰ります」。駅方面へ足早に立ち去っていった。
7日発令された緊急事態宣言。8日午前0時に効力が出る前に駆け込みで“最後の夜”を楽しんだサラリーマンは少数派だったようだ。
昨夜の都内は肌寒かったものの、満月が輝く「はしご酒日和」。しかし、本紙が歩いた飲み屋街には閑古鳥が鳴いていた。
通常、夜7~8時にもなると、酔客でごった返す新橋駅周辺の人通りは、普段の3割程度。道行く人の多くは一様に硬い表情を浮かべ、駅を目指して歩いていた。街には自粛ムードが漂い、全体の約7割の店が休業。客引きの男性は申し訳なさそうに「居酒屋は……行かないですよねぇ」と、2人組の男性に話しかけていた。