歌手・竹島宏さん 曽祖母から受け継がれる甘めの煮しめ

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 穏やかな笑顔が印象的な竹島宏さん。かつて山内惠介と北川大介の3人組ユニット「イケメン3」が「平成のご三家」と呼ばれて話題になり、歌手としての道を歩んできた。4月発売の新曲「はじめて好きになった人」はオリコンチャート演歌部門で1位を記録し、自粛ムードのエンタメ界で健闘中だ。

 福井市生まれ。大学進学で上京するまで市内の実家で過ごした。

「母が働いていたので小さい頃は近所に住んでいた祖父母にご飯を作ってもらっていました。おふくろの味と聞いて思い浮かぶのは煮しめです。母親がわりの“おばあちゃんの味”ですね。祖父母の家へ遊びに行った時に僕が曽祖母が作ってくれた煮しめをおいしそうに食べるので、祖母がよく作ってくれたんです」

 煮しめは曽祖母が他界した後は祖母に受け継がれた。その祖母が昨年他界し、今では母親が受け継いだ。作り方はいたってシンプル。里芋やこんにゃく、鶏肉を鰹節と昆布のダシで煮る。具材は子供が食べやすい一口サイズでダシがよく染みこみ、軟らかく煮えていたのを覚えている。

「味付けが少し甘めでしたね。みりんが多めだったのかもしれません。曽祖母って砂糖が貴重な世代ですよね。曽祖母と一緒に寝てるとよくアメ玉をくれました。それが母親に見つかって『虫歯ができるでしょ』と怒られたけど、曽祖母には甘さが大切だったのかもしれません。でも、おいしくて思わずご飯が進んじゃう感じでした」

 祖父母の家、実家のそばに田んぼも畑もあって野菜は無農薬。取れたてを料理していたのもうまさの秘訣だった。

「実家の庭で作っていた夏野菜をよくもいで食べていました。思い出すのは庭でできた里芋の茎を甘酢に漬けて食べる『すこ』という福井の郷土料理。お酢も使って体にいいし、ピンク色が鮮やかで大好きでした」

 父親は営業マン。休み返上で仕事をする姿が思い浮かぶ。

「日曜日に父親と一緒に遊びに行くと、いつの間にか父親が何時間もいなくなってしまう。営業先に行って商談していたんですよね。僕は『パパはいつも約束を破る』と言って怒ってました。すると母が『あなたがご飯を食べられるのはパパが仕事してくださっているからなのよ』っていつも敬語で言っていました」

 母親は65歳。学生の頃は陸上部に所属し、性格はちゃきちゃきして、顔はそっくりとか。竹島さんはそんな母親を思い出し、地方に行くと空港から名産を送る。

「のど自慢の仕事で行った愛媛からは柑橘類の詰め合わせを段ボールで注文して届けてもらいました。すると『今日はどういう風の吹き回しですか』なんて言われて(笑い)。喜んでくれているみたいです」

 つい先日、母が作った煮しめを食べる機会があった。

「緊急事態宣言前ですけど、福井の放送局で地元を元気づけようという企画がありまして。時節柄電車ではなく車で行きました。仕事が終わって高速道路に乗る直前、母が手料理を詰めた重箱を届けてくれたんです。お互いに気を使って車の窓越しに受け渡しをして。3段の重箱に煮しめとおにぎり、唐揚げも入っていたかな。久しぶりに母の味を堪能しました」

 とうれしそうに語る。母親からは「みなさんへの感謝の気持ちを忘れないように」というメールがよく届く。煮しめの味も思い出しながら母にもファンにも感謝!

 (取材・文=浦上優)

材料・レシピ

 材料は里芋、ニンジン、鶏肉、こんにゃく、干しシイタケ、干した大根、たけのこ、調味料は醤油、砂糖、みりん、鰹節、ごま油。

(1)鰹節、昆布でダシをとる
(2)①が沸騰したら鶏肉を入れてアクを取り、里芋を加えて落としぶたをして中火で10分程度
(3)野菜、こんにゃくを加え、軟らかくなったら醤油、砂糖、みりんを加えて味を調える
(4)仕上げにごま油を少々加えて出来上がり

◆発売中の「はじめて好きになった人」は2020年第1弾シングル。ミュージックビデオ付き。ヒット曲「月枕」に続く至極のラブバラード!

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