野場良之さん<1>営業力を見込まれ、80歳まで現役生活
86歳・東京理科大理学部卒
「愛知県の田舎で生まれた私は、高校時代に物理倶楽部に所属するほどの物理好き。そのため、同郷の東京理科大学初代学長・本多光太郎先生は憧れの存在でした。家業は農家で、ちょうど高校卒業の年に父親が亡くなり、生活するのがやっとの状態でしたから、高校を卒業後、1年間働いて資金を貯め、東京理科大に進学しました」
理科大を卒業すると、先輩の誘いを受け、光学機器の製造販売をする大洋商会に就職。製造を希望したが、営業の配属となった。
「人と接することが苦手だったので、戸惑いました。ただ、私に営業を教えてくれた上司がとても厳しい方で、1年半みっちり指導を受けたおかげで、こまやかな営業ができるようになっていました」
野場さんの丁寧な営業ぶりを感心して見ていた人がいた。ライバル会社の営業マンだ。ある日、その人から声がかかった。
「今度、新会社を立ち上げる。手伝ってくれないか」
こうして野場さんは、日新商事に転職。オーナーと誘ってくれた人、野場さんの3人による新会社の船出だった。