日本橋の名店が創業時の“幻のメニュー”を復活させた理由

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 昨年8月のとしまえん(東京・練馬)の閉園など、かつて親子連れで賑わった遊園地は、少子高齢化で衰退傾向にある。

 だが、およそ100億円の大規模改装を経て、5月に営業再開した西武園ゆうえんち(埼玉・所沢)は「来場者数は想定を上回り、臨時列車の運行を行っています」(広報担当者)と出足はすこぶる好調だ。

 そのカギは「昭和レトロ」にあるという。昭和を知らない若い世代にとって、昭和の街並みやカルチャーは新鮮に映ると評判だという。

 そんな中、大島渚らの文化人に愛された1947年創業の「日本橋せいとう」では、開業時の数年だけ出していた「幻の喫茶メニュー」を70年以上を経て復活させた。インスタ映えすると、若者を中心にウケているという。

 現在、熟成和牛とシチリアワインで知られる老舗レストランだが、コロナ禍で夜の利用が消失し、打撃を受けている。

 テークアウトやキッチンカーなど、新たな試みを始める中、戦後の混乱期に人々に癒やしを与えたコーヒーやプリン、クリームソーダなどの提供を思いついたという。3代目オーナーの城麻里奈氏に話を聞いた。

創業時のスピリットを受け継いでいきたい

「満州中央銀行で支店長を務めていた祖父(城慶次氏)が、当時、青島で一緒に生活をともにしていた仲間に、生きて帰ってこられたら再会しようと約束し、日本橋で『せいとう』という名前で喫茶店を始めたのがルーツです。喫茶店といっても最初は商売ではなく、救護所のようにボランティアで始めて、戦後復興とともにさまざまなシェフの協力のもと、洋食レストランに変わっていったため、喫茶はほんの数年しか営業していませんでした。当時のレシピは、残されていた祖父のメモと、父が祖父から聞き、書き留めたものをベースに、古くからいる料理長が再現しました」

 物資不足が慢性化していた当時、コーヒーやアイスクリーム、卵などは貴重だったが、ツテをたどって入手していた。

 名物のアーミーストロングコーヒーは今どき珍しい素朴な味わい。体と心に優しい味をモットーに、クリームソーダは着色料を使用せず淡いグリーンを再現。プリンはしっかりとした硬さに仕上げられ、新しい食感だ。

「コロナ禍で多くの人が大変な思いをしている中、戦争で悲しい思いをしている人を笑顔にしたいという創業時のスピリットを受け継いでいきたいです」(城氏)

 古くから提供している黒パンで厚い卵焼きを挟んだタマゴサンドといった新たなメニューも誕生。

 珍しい昭和前期の味を楽しむことができる。

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