独身ひとり暮らしなら年金は「70歳」からもらうのが最も得 20万円もらえて生活費15万円と黒字に

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 自民党総裁選を争う河野太郎行革担当相が年金の最低保障部分を「消費税」で賄う案を提唱している。年金制度はコロコロと仕組みが変わるため、老後に不安を抱く人がいて当然だが、日本の多数派を占める独身者はちょっと働くだけでも十分な生活ができそうだ。

 日本人の生涯未婚率は2019年時点で男性23%、女性14%。その一方で離婚率は35%もあり、単身世帯は2040年には約4割に達する。

 ところが、メディアが報じる老後年金の試算は「夫婦単位」ばかりが多く、ややもすると「単身者」は見過ごされがち。

 そこで独身シングルの年金シミュレーションを行ってみた。普段よく耳にする「老後2000万円足りない問題」が気になっている人もいるだろうが、これは投資を促したい金融庁が言い出したもので、ベースとなる数字はやはり夫婦。平均的な夫婦の消費支出と年金額の差額を計算したものなので、独身者の支出はこれより少なくても済む。独身なら死別や離婚リスク(年金が減る)もなく、支出より年金収入が多ければ「OK」だとシンプルに考えられる。

65歳でもらうと毎月赤字に

 では、家計支出を考慮した上で独身の人は何歳から年金を受け取ればいいのだろうか?

 来年4月に新年金制度がスタートし、通常は65歳から受け取る年金の「繰り下げ」が70歳から75歳に拡大する。金額は1カ月繰り下げるごとに0.7%ずつ増えるので、120カ月分で84%の増額だ。さらに「繰り上げ」(早くもらう)の際のペナルティー的な減額が0.5%から0.4%に縮小される。この点を押さえて試算してみよう。

 厚労省によると、厚生年金の平均額は14万6145円。男性16万3840円、女性会社員10万2588円と開きはあるが、離婚して年金を分割する可能性もあるので、ここは平均の「14.6万円」をベースにしたい。

 85歳までを趣味や旅行に活発なアクティブシニアとすると、その時点でのもらえるトータル年金額は「60歳開始」が3335万円、「65歳開始」は3510万円だ。繰り下げとなる「70歳開始」は3738万円、「75歳開始」は3229万円となる。年金にも税金や社会保障費はかかるので若干その差は縮まるが、ひとり身なら「70歳」からもらうのが最も金額的に多くなる。

 ここで頭に入れておかなくてはいけないのが毎月の家計支出。総務省統計によると、単身世帯の消費支出は月額平均15万506円(2020年)で、これだと通常65歳でもらう年金額14.6万円では足りず、毎月赤字になってしまう。つまり、どこかで「我慢」する必要があり、精神衛生上にもよろしくない。

 一方、70歳から年金をもらうと額は20.7万円にアップ。毎月5万円以上の“剰余金”ができ、年1回海外旅行を楽しむ余裕もできそうだ。

個人同士をマッチングする「シェアジョブ」

 だが、これでは机上のナントカと言われてしまうだろう。現実社会は65歳で雇用延長が終わる人が多く、70歳までの5年間、無収入になってしまうのだ。

「年金の繰り上げ・繰り下げは月単位で行うことができますし、老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(報酬比例)を別々に繰り下げたり、繰り上げたりすることもできます」(特定社会保険労務士の稲毛由佳氏)

 この制度をうまく活用し、65歳で「老齢基礎年金」だけもらってしまう方法もある。老齢基礎年金は満額で約6.5万円。先ほどの単身世帯の消費支出は15万円なので、不足分は8.5万円に縮まる。国民年金の人にも当てはまる。

 65歳ならまだまだ体は元気。会社員であれば退職金もあるだろうし、パートやアルバイトで「チョイ働き」しながら70歳を迎えるといい。一人暮らしの気楽さだから気が向いた時に週2日程度働く。不足分の月8万円くらいの収入だ。

 東京しごとセンターは企業に補助金を出し、65歳以上の職場体験を実施中。それでなくとも今は人手不足なので、一般求人でも「駐車場管理、パーキングスタッフ」(時給1100円)、「人事採用アシスタント」(時給1200円)、「介護施設送迎ドライバー」(時給1020円)、「分譲マンション管理」(時給1020円)といったアルバイトがすぐに見つかる。また会員制の公益社団法人シルバー人材センターの仕事もある。浦安市のシルバー人材センターでは「剪定作業」(1日9460円~)、「除草作業」(1日7480円~)、「家事援助」(時給1100円~)などの求人例がある。シルバー人材センターは就業日数が「月に10日以内」または「週に20時間以内」と規定され、請負・委任契約の場合は7~10%を事務費として支払う。

 さらに、大学生や主婦など58万人が登録する「シェアジョブ」は、短期や単発の仕事に特化した個人と法人のマッチングサイト。企業求人では「りんごの葉っぱ取り」や「倉庫内作業」、個人からの求人には「雪かき」「買い物付き添い」などがある。

「例えば、個人さまから『家の草むしりを手伝ってほしい』などの依頼を受け付け、手伝ってくれる人とをマッチングさせます。報酬はセブン銀行ATMで即日に受け取ることもでき、定年を迎えた高齢者の方、子育て中の主婦などを依頼者と縁結びしていきます」(運営元「エントリー」の広報担当者)

 要するに、働き口はどこにでもあるのだ。

 ところが、お得であるはずの「繰り下げ」を選ぶ人は圧倒的に少ない。「女性セブン」の資料によると、18年度に「繰り下げ」した人の割合はわずか1・5%。「繰り上げ」が約3割もいた。ギリギリの生活をしていたり、将来の年金制度が不安と繰り上げしてしまう人の気持ちもわかるが、それだと月の年金額は11万円ほどにまで減ってしまう。

 長い目で見れば実にもったいない。

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