これがコロナの症状を和らげる漢方薬 北里大は「麻黄」を用いた重症防止を治験中

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 新型コロナウイルス感染後、自宅療養者の多くは、市販薬で症状を抑えている。そんな中で注目されているのが「漢方薬」だ。比較的、副作用のリスクが低く、一部を除いて西洋薬と併用できる。北里大学などの研究グループが「葛根湯」などに含まれる生薬「麻黄」を用いた飲み薬による治験も始めている。感染初期患者の重症化を防ぐ可能性がある。

■「まさか!」のために用意しておきたい

 感染に備えて、個人の判断で医薬品を購入する人も多い。心配なのは副作用のリスクだが、漢方薬は西洋薬に比べてそのリスクは少ない。

 漢方専門外来も行う「ココメディカルクリニック」の泉さくら院長が言う。

「西洋医学では、発熱なら解熱剤と症状に応じてピンポイントで薬を処方します。そのため、西洋薬を医師の診療なしで予防のために購入したり、投与することはリスクが伴います。一方、漢方薬は免役を高めることが目的の自然由来の生薬です。一部を除いて自身で購入し、西洋薬と併用したり、予防のために取り入れることも可能です。中国医学の古典に『正気存内、邪不可干』という有名な言葉がありますが、体内の免役が高ければ邪気ははね返せるという考えです。自宅療養に備えて自身で用意することが可能です」

 今回は、ドラッグストアや薬局で、個人単位で購入できる漢方薬を症状別に紹介してもらう。

■解熱剤を飲んだが熱が下がらない

「麻杏甘石湯」

「感冒症状を和らげる効果があります。古くから気管支炎や気管支ぜんそくに用いられた薬で、解熱薬で効果がないときに補います。汗をよくかく、口の渇きがあるといった症状が処方の目安になります」

■咳や鼻水がつらい

「麻杏甘石湯」「大黄甘草湯」「清肺湯」

「大黄甘草湯は、便秘薬としても知られます。体力に関係なく使え、『甘草』の成分が鼻水や咳を抑える役割を担います。清肺湯は、鼻詰まりや、粘りが強く切れにくい痰を出しやすくし、咳の症状を抑えます」

 清肺湯は、中国、台湾、韓国の「新型コロナ感染症治療のガイドライン」に記載され、日本感染症学会の特別寄稿文の中でも紹介されている。

■味覚・嗅覚がない

「胃苓湯」「小柴胡湯加桔梗石膏」

「『胃苓湯』は胃の余分な水分を排出するとともに内臓の働きを促します。食欲の増進と、痰や鼻水など異物を出しやすくし、喉や鼻の通りを良くします。また、『小柴胡湯加桔梗石膏』は、去痰・排膿作用の桔梗や滋養作用の人参など9つの生薬が配合され、扁桃炎などによるのどの腫れや痛みの改善に効果があります。味覚・嗅覚がなく食が進まないときも、食事の通りを良くし、栄養分の補給になります」

■倦怠感、寒けや節々の痛みがある

「麻黄湯」「葛根湯」

「『麻黄湯』は、発汗作用があり、体の熱や腫れ、あるいは痛みを発散し、風邪のひきはじめの寒けや発熱、節々の痛み、倦怠感の緩和に効果があります。代謝が上がりすぎるので、若い方など体力に自信のある人におすすめ。高齢者や子供などはほぼ同じ作用の『葛根湯』を選ぶといいでしょう」

■無症状だが免疫力を高めたい

「補中益気湯」「玉屏風散」

「『補中益気湯』は、胃腸の消化・吸収機能を整えて、病気に対する抵抗力を高める薬として使われます。気力が湧かなかったり、疲れやすいときに処方します。しっかり睡眠と栄養を取った上で取り入れるといいです。『玉屏風散』は、屏風という言葉が入っている通り、外からの邪を食い止める意味が込められています。強壮薬のオウギや発汗で体内の毒を排出するボウフウといった生薬が配合されていて、体の免疫を立て直す効果があります。また気管支炎、慢性鼻炎、花粉症といったアレルギーを抑えます」

 さらに呼吸器疾患がある人は予防として「清肺(排毒)湯」を飲んでおくといい。

後遺症にはオーダーメードの漢方を処方

「漢方薬は食前に飲むと体内にめぐり効果が高まります。基本的には西洋薬と併用して問題ありません。ただし、がん治療や肝臓疾患の治療薬の『インターフェロン・アルファ製剤』を処方されている方は、必ず医師と相談してください。もちろん、体質に合う漢方を処方した方が効き目が高いので、医師や薬剤師に相談して購入することをおすすめします」

 また、新型コロナワクチンを接種する上で副反応が不安な人も多いだろう。接種した上腕の重みや背中や首の痛みなど体の違和感や不調を解消する漢方薬はあるのか。

「ワクチン接種による局所の痛みは一時的なので、免疫力を高めるためにも経過観察します。ただし、頭痛や寝込んでしまうぐらいに熱でつらい症状が出ているときは漢方薬を飲んで構いません。東洋医学では、体内で免疫をつくるための好転反応が出ていると考えます。解熱鎮痛剤よりも、生薬由来の麻黄湯、葛根湯で発汗作用を促す方が体にも負担がありません」

 最近は倦怠感や抜け毛、味覚障害など後遺症を治療する段階で、漢方外来を訪ねる患者が増えているという。

 ただし、新型コロナウイルス自体が陰性になった後の処方になるので、「その人の体質や症状を考慮し、同じ症状でも個々に合わせた異なる漢方薬を用いなければなりません」。

 後遺症の場合は、個人の判断で飲むのは悪化させるリスクがある。

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