東京都の自宅療養者3万人超! ホテル療養施設2000室も空いているのになぜ入れないのか

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 東京都では24日、新たに8503人の新型コロナウイルス感染者が確認された。月曜日としては過去最多で、前週の3719人から倍以上の増加。自宅療養者は過去最多の3万1963人に達し、それとは別に2万9490人が「入院・療養等調整中」だ。

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 感染経路で最多は「家庭内」だが、希望しても療養施設に入れず、自宅療養者から家庭内感染が広がるという悪循環に陥っている。

 この状況を打開するため、都は無症状者向けの宿泊療養施設(350床)を新設。25日から運用を開始する。もともと東京五輪関連施設だった「東京スポーツスクエア」を改修したもので、大型テレビがある共有スペースやテレワーク用のブース、軽い運動ができるトレーニングルームなどもある。

「マスクを着用して3密を避けるなどの対策を取れば、陽性者同士が共有スペースで過ごすことに問題はないと専門家の見解を得ています。そもそも、こちらの施設はパーティションで部屋を区切っただけで天井部分は開いているため、完全個室ではありません」(東京都福祉保健局の担当者)

 23日に施設を視察した小池都知事は「いろんな工夫を凝らしながら進めていく」「ご家庭の子供さんや高齢者にうつす可能性がある方々にはぜひ自ら(家族と)距離を置いてほしい」と話したが、わずか350床では、あっという間に埋まってしまうだろう。2月上旬には立川にも同様の施設を開設して650床を確保、合わせて1000床まで拡大するというが、それでも全然足りない。

家庭内感染は増える一方

 不思議なのは、都がホテルなどを借り上げて軽症・無症状者向けに用意した宿泊療養施設に2000室以上の空きがあるのに、希望してもなかなか入室させてもらえないことだ。新たな施設をつくるのもいいが、まずは確保済みの療養施設を活用したらどうなのか。

「都が確保したホテルは24日時点で4940室。そのうち使用しているのは2700室未満で、たしかに2000室以上の空きがあります。これまでデルタ株の基準で1日あたりの入所者上限を決めていましたが、オミクロン株はもう少し早く退所できることが分かってきたので、見直しを行っているところです。近日中に1日あたりの入所者を多少は増やせると思います」(都の担当者)

 そうやって入所を制限してきたから家庭内感染が増え、感染爆発でますます自宅療養者が増える事態につながったのではないか。1000床の新施設は、この危機的状況と無策を隠すためのパフォーマンスでしかない。

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