(22)元実習生の留学に高いハードル…「技能移転」と「経歴詐称」が足枷に
今年2月末、宮城県の日刊紙「河北新報」が、仙台の日本語学校で起きたベトナム人留学生に対する「300万円請求」問題を報じた。同紙に情報提供し、匿名で取材に応じたひとりが、元留学生のグエン・タイン・ディエプさん(36)だ。
日本語学校は大学などとは違い、「卒業」しても学位は得られない。もちろん、中途退学して就職しようと自由だ。にもかかわらず、ディエプさんが在籍していた学校は、退学して就職すれば「300万円」を請求するとの誓約書をつくり、留学生たちに署名させていた。
なぜ、そんな学校に彼女は留学することになったのか。その理由は彼女の経歴にある。
実は、ディエプさんには留学生として来日する前にも日本での滞在歴があった。2015年から18年にかけ、愛知県の縫製業者で実習生として働いていたのだ。その後、ベトナムへ帰国したが、留学生で再び来日しようと考えた。
「日本で介護の仕事がしたかったのです。そこでまず、兵庫県にある介護の専門学校へ留学しようとしたのですが、(日本語能力試験)N2がないので留学ビザが出なかった」