4630万円振り込みミスの阿武町が全額返還求め提訴も…自治体側の責任が問われる可能性が
山口県阿武町が1世帯に誤って4630万円を振り込んだ問題。振込先の20代男性は、「お金は口座から動かして戻せない」として返還を拒否し、現在は所在不明となっている。阿武町は12日、男性を相手取り「不当利得の返還」を求めて山口地裁萩支部に提訴した。だが、あくまで民事訴訟となり、返還は難しいとみられる。
刑事事件に詳しい弁護士の山口宏氏がこう言う。
「今回は町のミスで、男性の口座にたまたま振り込まれたもの。詐欺や横領には当たりません。類似のケースとしたら、落ちていた財布を拾って届け出ない『遺失物横領』が考えられます」
実際は誤送金の現金を持って逃げる判決事例はなく、責任を問うのは難しいようだ。ただし、民事では、相手の所在や住所が分からなくても訴状を送ったとみなす制度「公示送達」(民法第98条)があるので、男性が見つからなくても裁判をし、判決を下すことは可能だ。