(26)退学し就職なら300万円を請求 音声データに残る理事長の声
2020年3月に日本語学校への学費など123万円を払い終えた頃、ベトナム人のディエプさん(36)には100万円の貯金があった。その後、新型コロナの影響で入国待機していた間の生活費などで、同年11月の来日時には貯金は80万円まで減っていた。うち50万円はベトナムに残し、30万円を持って彼女は日本へやってきた。
当初はアルバイトが見つからず、資金は減る一方だった。やがてラーメン屋でバイトを始めたが、月収は8万円に過ぎなかった。
「(留学生のアルバイトとして認められる)週28時間を超えて働く人はたくさんいます。でも、私は絶対に法律違反はしたくなかった」
月8万円の収入では、生活はできても翌年分の学費は貯まらない。もともと彼女は、ベトナムに残している50万円を学費に充てるつもりでいた。だが、ベトナムにいる兄が働く会社が倒産し状況が変わった、というのが彼女の主張だ。
ディエプさんは16歳の娘を持つシングルマザーである。その娘を兄に託し、来日していた。