(59)「朝日奨学会」への取材で違法就労が是正 情報源が特定された場合は販売所に指導
「仕事の時間が減りました。週28時間以内になったんです!」
東京都内の朝日新聞販売所で新聞奨学生として働くキエット君(21)から弾んだ声で連絡があったのは、昨年11月のことだった。
キエット君は2020年7月に来日して以降、留学生に認められる「週28時間」を大幅に超える就労を強いられていた。彼を販売所に斡旋した朝日新聞の実質的な傘下組織「朝日奨学会」に相談しても、何も対応してもらえなかった。
そこで私は、ベトナム人の違法就労や、奨学会が定める日本人奨学生との差別待遇問題について、奨学会に取材で質問を送った。すると奨学会はキエット君の販売所に対し、違法就労を是正するよう指導したようなのだ。
奨学会に送った質問では、キエット君や販売所の名前は伏せていたが、彼と担当者のやりとりの詳細は記した。それを読み、私の情報源がキエット君であることを奨学会も分かったのだろう。
奨学会の対応は、18年に別の販売所でベトナム人奨学生に起きた問題に関し、私が取材した際と全く同じだった。この販売所のベトナム人奨学生たちも、法定上限を超える就労を強いられていた。しかも日本人の同僚のように原付バイクを使わせてもらえず、自転車で新聞を配っていた。