本拠地・韓国では想像もつかない「サイビ宗教」と日本の政治の結束
安倍晋三元首相が銃撃された事件は、韓国はもちろん、世界各国に衝撃を与えた。しかし、その後の世論の関心は、日本と韓国で大きな開きがある。
日本では、旧統一教会と政界との結びつきが連日報道され、内閣支持率にも大きな影響を与えている。一方で、韓国ではこうした問題は注目されず、メディアを通してもほとんど話題になっていない。
■似て非なるカルト
この温度差は、旧統一教会に対する社会の見方の違いからきている。キリスト教の影響力が強い韓国社会では、旧統一教会の教義は「異端」とされ、一般的な宗教団体としては認知されていない。
個人崇拝や多額の献金を要求する新興宗教を、韓国では「サイビ宗教」と呼ぶ。「サイビ」を漢字で記すと「似而非」。「宗教とは似て非なるカルト集団」という意味合いだ。韓国社会で旧統一教会は、まさに「サイビ宗教」として認識されている。
多くの韓国人にとって理解できないのは、なぜこうした「サイビ宗教」が、安倍元首相をはじめとした大物政治家と関係を持ち、自民党とのパイプを築くことができたのかという点だ。とりわけ安倍氏は、日韓関係において韓国内では「有名人」だったことから、その人物の背後に「サイビ宗教」が存在したことに驚きを示す声も少なくない。