著者のコラム一覧
髙橋裕樹弁護士

「すべては依頼者の笑顔のために」がモットー。3000件を超す法律相談実績を持ち、相続や離婚といった身近な法律問題から刑事事件、企業法務まで何でもこなすオールマイティーな“戦う弁護士”。裁判員裁判4連続無罪の偉業を成し遂げた実績を持つ。アトム市川船橋法律事務所。

小動物とぶつかった感覚でそのままに…ドライバーは車のひき逃げを自分で判断してはいけない

公開日: 更新日:

 先日、自動車で通勤している際に、急に「ガタッ」と音がしたので、何かと思って車を止めて確認をしたら、路上に木材片が落ちていました。これがもしも、生き物や、ましてや人だったらと思うとゾッとしました。

 今月、福島県会津若松市の42歳の男性が駐車場で乗用車を発進させた際に、近所の女性(88)を右前タイヤなどではねて死亡させたとして、過失運転致死罪と救護義務違反(ひき逃げ)の疑いで後日逮捕された事件がありました。

 当初は熊に襲われたのかと騒がれたこの事件。男性は何かに当たった記憶はあるが、小動物とぶつかったような感覚だったので、そのまま出掛けたとの認識だったようです。

「人」ではなく「動物」とぶつかったとの認識であれば、故意にその場から去ったわけではないので、ひき逃げには該当しないように考える人もいるでしょう。

 しかし、法律の解釈はそう簡単なものではありません。明確に「人」と認識していなくても、例えば、「人」にぶつかったかもしれないけどまあいいか、行ってしまおう、といった認識の場合でも故意があるとされています。そして、交通事故の場合は、ドライブレコーダーや防犯カメラなどによって、事故状況がある程度客観的資料に残されていることが多いものです。本人が「人をひいたとは思わなかった」と主張しても、事故発生時の衝撃、音や声の有無や内容、自己態様や車両の損壊状況などによって、「人とぶつかったと認識していたはず」として逮捕され、裁判でもひき逃げが認められることもあります。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性