根岸の超老舗「鍵屋」では女将さんが酒を一升瓶経由で徳利へ…ふと少年時代を思い出した

公開日: 更新日:

 アタシがまだ小学1、2年生だったから、昭和40年代初期の話だ。

 当時はまだ、量り売りをする店が多かった。肉屋とか総菜屋は今でもそうだが、アタシが祖母の使いでよく行かされたのは酒屋。昔の酒屋は量り売りが当たり前、空の大徳利を持って行って「大関の2級酒を5合ください」って頼むと、ニコリともしない無愛想な親爺が樽から一升枡に注いだ酒を漏斗を使って大徳利に移してくれた。「落とすなよ」とか言われながら大事に抱えて持って帰った覚えがある。

 なぜこんな話をしたかというと、今回お邪魔した店で、ふとそんな子供の頃を思い出す光景に出くわしたからだ。

 その店は根岸の超老舗「鍵屋」。鴬谷駅前から言問通りを渡った裏路地にある黒板塀の激シブ酒場。大正元年に建てられたものを、酒場として改装したという。鍵屋が酒屋として別の場所で創業したのが江戸時代の安政3年だそうだから、まさに老舗中の老舗だ。

 5時きっかりに開店待ちの客7、8人とともに店内へ。「お好きな席にどうぞ」。女将さんから声をかけられ、L字カウンター手前の止まり木に陣取る。左手の座敷には4人掛けテーブルが4卓。テーブルというよりお膳といった感じ。早くも2卓が埋まった。飴色の分厚い木のカウンターは8人ほど座れる。アタシのいる止まり木には常連らしき大先輩の姿も。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    世良公則氏やラサール石井氏らが“古希目前”で参院選出馬のナゼ…カネと名誉よりも大きな「ある理由」

  2. 2

    新横綱・大の里の筆頭対抗馬は“あの力士”…過去戦績は6勝2敗、幕内の土俵で唯一勝ち越し

  3. 3

    年収1億円の大人気コスプレーヤーえなこが“9年間自分を支えてくれた存在”をたった4文字で表現

  4. 4

    浜田省吾の父親が「生き地獄」の広島に向ったA.A.B.から80年

  5. 5

    山尾志桜里氏は出馬会見翌日に公認取り消し…今井絵理子、生稲晃子…“芸能界出身”女性政治家の醜聞と凄まじい嫌われぶり

  1. 6

    「徹子の部屋」「オールナイトニッポン」に出演…三笠宮家の彬子女王が皇室史を変えたワケ

  2. 7

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題?

  4. 9

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  5. 10

    フジ親会社・金光修前社長の呆れた二枚舌…会長職辞退も「有酬アドバイザー」就任の不可解