著者のコラム一覧
髙橋裕樹弁護士

「すべては依頼者の笑顔のために」がモットー。3000件を超す法律相談実績を持ち、相続や離婚といった身近な法律問題から刑事事件、企業法務まで何でもこなすオールマイティーな“戦う弁護士”。裁判員裁判4連続無罪の偉業を成し遂げた実績を持つ。アトム市川船橋法律事務所。

死刑囚は民事裁判を起こしてはいけないの?

公開日: 更新日:

 大阪弁護士会によると、大阪拘置所に収容されている死刑囚が、名誉毀損を理由に損害賠償を求めて裁判を起こしました。この死刑囚のもとには、2021年3月に指定された最初の口頭弁論期日の出席を求める呼び出し状が裁判所から届きました。しかし、大阪拘置所は出廷を許可しませんでした。その後、2023年7月の第2回の期日も同様に出廷が許可されず、民事訴訟法の規定に基づき裁判は取り下げ扱いとなりました。

 大阪拘置所は、弁護士など代理人を立てられること、本人尋問が予定されていないこと、警備や護送など管理運営上の支障があることなどを総合考慮して、出廷を許可しませんでした。

 この一連の経緯について、大阪弁護士会は問題を指摘し、警告を発しています。

 死刑執行までの時間稼ぎではないか、死刑囚なんだからとか、死刑囚の人権はないとの意見が散見されますが、裁判を受ける権利は憲法で保障された基本的な人権であり、死刑囚であっても例外ではありません──と。

 そして、このように出頭が許可されないことで裁判そのものが成立しないという事態は、司法制度の公平性に疑問を投げかけたものでもあります。特に本人訴訟を選択せざるを得ない死刑囚にとって、出頭できないことは実質的に裁判を諦めざるを得ない状況を意味します。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋