著者のコラム一覧
室井佑月作家

1970年、青森県生まれ。銀座ホステス、モデル、レースクイーンなどを経て97年に作家デビュー。TBS系「ひるおび!」木曜レギュラーほか各局の情報番組に出演中。著書に「ママの神様」(講談社)、「ラブ ファイアー」(集英社文庫)など。

『いままでありがとうございました』

公開日: 更新日:

 あたしは世の中が変わっていっているんだと思います。じわじわと。

 それは全体主義的に。とはいっても、それは国家の利益を追求するため、というものではありません。

 様々な方面に声の大きな人がいる。その声の大きな人は、気にいらない誰かをピックし、仲間を集めて叩く。集められた人たちは、それが正しいと、リンチに加わる。本来なら、もともとの問題の障害になる社会構造や、そういう構造を作っている人と、深く議論し、正しさを求めてゆくことなのに。そして、メディアが率先し、その根拠を示すべきなのに。

 このコラムでも何度も話しましたけど、法治国家において、罪に対する罰は、罪の大きさに対し、誰もが等しく科せられるものでなくてはならないです。ノリでとか、見せしめでとか、今はこの人とか、そういうものであってはならない。

 結果、SNSの法規制が決まりそう。それは匿名で自由にものをいえるというあたしたちの権利を侵害するもの。でも、それを選んだのは、あたしたちです。

 目立つ言動は慎め。叩かれる側にまわりたくなくば、調子よく叩く側にまわれ。深く考えるな。危険だ。

 あたしたちはこんな世の中を望んでいたのでしょうか? どうか、お願いします。今一度、考えて欲しいのです。

(おわり)

【連載】室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  5. 5

    巨人正捕手は岸田を筆頭に、甲斐と山瀬が争う構図…ほぼ“出番消失”小林誠司&大城卓三の末路

  1. 6

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  2. 7

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    「ばけばけ」苦戦は佐藤浩市の息子で3世俳優・寛一郎のパンチ力不足が一因