著者のコラム一覧
清水国明タレント

1950年、福井県生まれ。73年にフォークソングデュオ「あのねのね」で芸能界デビュー。2011年の東日本大震災以降、NPO法人「河口湖自然楽校」を拠点に被災地復興支援活動に積極的に関わっている。

過酷な避難所生活を救うのは「たき火と笑顔」 阪神・淡路大震災での思い出

公開日: 更新日:

■極力、体を動かす

 さらに気を付けたいのは、ジーッとせずに極力、体を動かすことです。私はいろいろな現場を見てきましたが、大事なのは被災者と支援者で分かれてしまわないこと。例えば、食事なら皆で作って、皆で食べる。ある避難所では、焼きそばや豚汁などを作る際、あるおばちゃんが駆け寄ってきて「私にもやらせて~」と。それで、ものすごい手際で食材を包丁でバーッと切る。彼女は「こういうのやると生き返るわー!」とうれしそうでした。何かに取り組むと前向きになれるものです。

 何より大事なのはたき火でしょう。人生そのものなんですよ、たき火って。火がついて、燃え盛って、それが崩れて、最後は残り火になるーー。ひとつの人生を見ているようで退屈しない。暖を取れるだけでなく、悲しみもふわっと浄化してくれる効果がありますね。

 阪神・淡路大震災の時は、そこかしこにたき火ができていて、それぞれに人が集まっている。あるたき火では「ワハハ!」と笑い声が上がっていました。聞いてみると、発災直後にタンスの下敷きになったおばちゃんが「お父さん、助けて!」と叫ぶと、旦那は「オレも潰されとるんじゃー」と。そのうちに「火事だ!」という声が上がったそうなのですが、途端におばちゃんはバーッとタンスをはねのけ「お父さんを踏み潰しながら逃げたのよ」と冗談めかして話していた。それで皆、笑い声を上げていたんですね。すると続々と人が集まり輪ができる。

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    2度不倫の山本モナ 年商40億円社長と結婚&引退の次は…

  2. 2

    日本ハムFA松本剛の「巨人入り」に2つの重圧…来季V逸なら“戦犯”リスクまで背負うことに

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    「ばけばけ」好演で株を上げた北川景子と“結婚”で失速気味の「ブギウギ」趣里の明暗クッキリ

  5. 5

    「存立危機事態」めぐり「台湾有事」に言及で日中対立激化…引くに引けない高市首相の自業自得

  1. 6

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  2. 7

    (2)「アルコールより危険な飲み物」とは…日本人の30%が脂肪肝

  3. 8

    西武・今井達也「今オフは何が何でもメジャーへ」…シーズン中からダダ洩れていた本音

  4. 9

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 10

    高市政権の物価高対策はパクリばかりで“オリジナル”ゼロ…今さら「デフレ脱却宣言目指す」のア然