明石「立ち呑み処 たなかや」たこの旨味は官能的な歯応え、出汁のよく出た汁は皿まで舐めた
仕事で7年ぶりの明石である。
アタシの興味はもっぱら海の幸でうまい酒を飲むこと。仕事そっちのけかい! と言われそうだがご勘弁を。目の前の瀬戸内の魚で一杯やること以上にこの世の幸せがあろうかって、いろんな所で同じこと言っているアタシです。が、いつも本心。つまり「今」がサイコ~。というわけで、今回目指したのは明石が誇る立ち飲みの名店「立ち呑み処 たなか屋」だ。
明石駅を背に明石港方面に少し行くと、魚の棚商店街という魚好きなら素通りできないアーケードが見えてくる。中に入るとそこは魚天国。明石焼き、たこ飯、穴子弁当、鯛の浜焼きなどの看板が店頭を飾る。寄り道の誘惑を振り払って進むと、杉玉が下がるたなか酒店が見えてくる。「立ち呑み処 たなか屋」はその酒屋の横の隙間の奥に隠れ家のようにたたずんでいる。
ここだけ見ても酒屋が営む角打ちの雰囲気満載である。年季の入った木戸を開けるとそこは酒好き族の天国。右手にどっしりとしたL字カウンターと、その上には大皿料理がズラリ。右側の壁伝いに洋酒樽のテーブルがある。ここは完全無欠の圧倒的酒飲み空間だ。
実はこのとき満席で入れず、空いたらお電話をくださるというご親切な計らいでうまい酒肴とこの場の空気にありつけたというわけ。感謝です。アタシは興奮を抑え切れず、まずは明石の地酒、来楽の純米生原酒(700円)と鱧と玉ねぎの南蛮漬け(700円)、明石たこの旨煮(800円)から。読者諸氏の唾をのみ込む音が聞こえてきそうです。