明石「立ち呑み処 たなかや」たこの旨味は官能的な歯応え、出汁のよく出た汁は皿まで舐めた
昭和6年創業
純米生原酒のまったりとしたうまみに、酸味の効いた鱧がドンピシャ。この鱧の身がほろりとほどけて絶品。脇役の淡路島の玉ねぎも主役を食うほどのうまさだ。そして満を持してたこを口に。「軟らかくて溶けるよう」とは決して言うまい。このうまさはそんな浅はかなものではない。硬くない程よいあんばいの煮加減はまさに官能的な歯応え、その弾力はきっと明石のたこならでは。たこの出汁がよく出たオツユがこれまた美味。オツユをたっぷり絡ませてアタマの部分をバクリ、そこに来楽をグビリ、サイコ~過ぎる! このオツユをご飯にかけて食いたいよ~。もしや……無意識のうちに器をなめていた恐れがある還暦男。
さて、ここでサッパリとハートランドのジョッキ生(500円)を。目の前の大皿に盛られたイワシの梅煮(300円)を追加。丸々と太ったイワシの身はサクッと骨から外れる。新鮮だからこその骨離れの良さ。片身を口に放り込み、横に鎮座する大ぶりの梅干しをかじるとイワシのうまみと梅の酸味が口中に広がる。幸せ。そこにハートランドをゴクリ。もっと幸せ。サイコ~!
たなか酒店の創業は昭和6(1931)年。「作りたいものを作ってお客さまに出すだけです」と語るのは3代目の田中泰樹さんと女将の裕子さん。地元の漁師が取れた魚を持ってきて酒屋の奥で酒を飲んでいた角打ちから、おいしい料理を出す今のスタイルになったのは2004年。裕子さんの料理と酒を求めて全国から酒好きが通ってくる。あ~、まだまだ物足りない。またゼッタイ来るぞ!
PS・スタッフの近藤佑美さん、お世話になりました! (藤井優)
○立ち呑み処 たなか屋 兵庫県明石市本町1-1-13