旬の魚を水産学部で蓄えた知識を元に一番おいしい食べ方で提供!佐島漁港に通い、何とコバンザメまで
さかな酒場ぴ(神奈川・桜木町)
大学の水産学部を卒業すると、食品メーカーや水産会社、官公庁などが主な就職先だ。中には、巡り巡って脱サラし、魚をメインに据えた飲食店を開く人もいる。人生いろいろとはいえ、腹を決めた主人の店なら、魚がうまいに決まっているだろう。
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JR桜木町駅周辺で一杯飲む人は、多くが野毛や動物園方面に向かう。その人気エリアに背を向けて国道16号を横浜方面に歩くと、紅葉坂近くにもうまい魚を振る舞う店がある。植原望さん・いづみさん夫妻が昨年10月に開いたこの店だ。
ご主人の望さんは都内の大学水産学部で魚を学ぶと、事務系の会社に就職。7、8年のサラリーマン経験を経て、飲食店でアルバイトした後、この世界に飛び込んだという。
「社会人になったときは、まさか将来、飲食店をやるとは思ってもいませんでした。でも、食べ歩きが好きだったこともあり、30歳を過ぎた頃、飲食店をやってみたいなと思い始めたんです」
飲食店での本格的な修業経験は一度もないそうだが、水産学部を目指すほどの魚好き。「昔から釣りが趣味で釣った魚をさばいたりしていた」という学生時代からの経験が生きた。毎日、佐島漁港に通い、仕入れる魚を間違いなく目利きできるのも、これまでの知識があればこそ。集めた魚をそのときにそして一番おいしい食べ方で提供するのが、店を始めてからのモットーだ。
「季節ごとにおいしい旬の魚があるんです。ありふれた魚も旬になれば、脂が乗ってよりおいしくなります。今ならアジとかイナダといった青物がオススメ(取材は8月末)。旬の魚を生かして、いかに調理するかがポイントです」