新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた
大西隼(映画「ヒポクラテスの盲点」監督)

新型コロナのパンデミックで、政府が初の緊急事態宣言を発出してから5年が経ち、感染症法上の位置づけが5類に移行して2年が過ぎた。あの「コロナ禍」は忘却のかなただが、いまもくすぶり続けているのがコロナワクチン接種後の健康被害だ。“救世主”のはずだったワクチンは本当はどこまで有効だったのか──。後遺症に苦しむ患者や接種後死亡者の遺族の声を聞き、真実を究明しようとしている医師や科学者らを2年にわたって取材したドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」が10日から公開されている。自身も理学博士である監督は、科学と事実に基づいて本作を世に問いたいと話す。
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──映画製作のきっかけは?
新型コロナワクチンの健康被害の問題に気づいたのは2023年の春ごろでした。少し時間ができたので、それまで見ていなかったSNSや、名古屋のCBCテレビや兵庫のサンテレビがユーチューブで配信している報道番組を見たんです。それまで「接種後死亡」といったニュースを目にしたことはあったかもしれませんが、気に留めていませんでした。しかし、患者さんやご遺族の姿を見て、大変なことではないか、なぜもっと大きなニュースにならないのか、と疑問に思い、福島雅典先生(映画にも登場する医学博士・京大名誉教授)の記者会見の映像を見た。経歴や実績を調べると、これほどの先生が科学的な事実を基に、国や厚労省に対してワクチン接種後の健康被害について訴えている。これは非常に重大なことだと衝撃を受けました。
──そこから疑問を取材し始めた。
最初から映画というわけではなかったのですが、半年近く心に引っかかったままでした。「知りたい」という気持ちを抑えきれなくなり、同年10月、福島氏らが立ち上げた「ワクチン問題研究会」の事務局にメールを送ったのが最初です。
──強く「知りたい」と思ったのは何ですか。
人類が初めて接種した「メッセンジャーRNAワクチン」、いわば遺伝子製剤とも呼べる新型コロナワクチンは、社会にとってポジティブな側面とネガティブな側面のどちらが大きかったのか。それを知りたかったのです。私自身が3回接種しています。加えて、社内で職域接種の推進を担当した経緯もありました。ただ、当時から心の片隅に「本当に安全なのだろうか」という1ミリくらいの引っかかりがあったんですね。当時はこれを打たないと日常が戻ってこないという焦燥感や強迫観念のようなものがあった。会社のため、自分たちのために良かれと思って進めたことですが、当時のあの1ミリの引っかかりを忘れてはいませんでした。むしろ心の中で少しずつ大きくなっていた。