目指せ、1円玉大!ミクロの世界 タナゴ釣り探訪記

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育房さんも一目置く名人は…

 その帰り際、育房さんが「庭に池を掘り、自らタナゴを育てて釣っている酔狂なスーさんと呼ばれる老師がいるんですよ」という。育房さんも一目置く名人で、早速取材に行った。

 スーさんは作務衣に麦ワラ帽姿で釣り支度中。顔は釣り焼けで赤銅色。口ヒゲに銀毛がまじり仙人のよう。目の輝きは少年のようにナイーブだ。

「では、始めますか」

 全長四十数センチの自作のタナゴ和竿をひょいと振って、水草の白い花の咲く池にエサをポトリと落とす。水面が揺れてウキが静まったその時、竿を持つ腕がサッと宙を走った。と思う間もなく、老師の鼻先でハリ掛かりした小さな魚体が跳ねている。

 エサ付けも振り込みも取り込みも素早く正確で、タナゴが次々に宙に躍り出る。途中、懐から1円玉を取り出し、そのアルミニウムの円の上に、釣ったばかりのタナゴを無造作にのせた。

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