農水省は「生産量が需要を大幅に上回る」と…“コメ余り”予想でも新米価格が下がらないワケ
各地で新米の収穫が本格化する中、米価がまた上昇している。
農水省によると、全国のスーパーで今月7日までの1週間に販売されたコメの平均価格は、5キロあたり4155円(税込み)だった。前週比264円の上昇で、4000円を超える高水準は今年6月以来だ。
この値上がりには、備蓄米放出の効果が薄れてきたことに加え、新米の異常な高騰が影響している。今年はJAが集荷時に前もって生産者に払う概算金が、大幅に引き上げられた。そのうえ、猛暑や渇水の影響で収穫量減少の不安が広がっており、新米を確保しようと、JAとそれ以外の集荷業者の買い付け競争が過熱しているのだ。
一方で、農水省が近く公表する今年7月から来年6月までのコメ需給の試算によると、今年は生産量が需要を大きく上回る見通しだという。「コメは余る」と予想しているのだ。
需要量は玄米ベースで697万~711万トンとなる一方、2025年産米の生産量は728万~745万トンを見込んでいる。新米の生産量が、需要量を最大で約40万トンも上回る見通しだ。備蓄米放出による供給増もあわせると、民間のコメ在庫量は198万~229万トン程度になり、2015年以来の高い水準まで在庫が回復する。