地元の魚介類はもちろん、日本全国から取り寄せている「泉銀」はまるで値札がついた水族館
泉銀(千葉・浦安)
東西線浦安駅から南に歩いて15分ほど。住宅街の真ん中にポツンと店を構える魚屋は、土日ともなると午前中から次から次へと魚好きが集まってくる。なるべく切り身や刺し身にせず、魚を1本丸ごと売ることを信条とする「泉銀」だ。
店主は3代目、森田釣竿さん。魚ロックバンド「漁港」を主宰し、知る人は親しみを込めて「船長」と呼ぶ常連もいる。
浦安の沖合には三番瀬と呼ばれる広大な干潟があり、江戸前の豊かな魚介類を育んできた。山本周五郎の小説「青べか物語」で知られる干潟の一部は埋め立てられ、ディズニーランドなどになったが、沿岸の海苔養殖などは重要な地場産業として今も残る。
この店は地元の魚介類はもちろん、日本全国から海産物を取り寄せている。親戚が豊洲のマグロ卸問屋・富市商店で、演奏公演で知り合った各地の漁業者とのネットワークも大きな力だ。
この日は一般的にもよく知られるキンメダイやサンマ、ゴマサバ、タチウオ、ケンサキイカなどとともに、アイゴやアオダイ、フエフキダイ、ヨロイイタチウオ、イネゴチ、タカノハダイなども当然のように魚体を輝かせていた。魚に値札がついた水族館のようだ。