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西潟正人東京海洋大 非常勤講師

魚の伝道師。1953年、新潟生まれ。魚好きが高じて全国の海岸線を巡り、神奈川県逗子市で地魚料理店を20年間営む。2017年から東京海洋大で魚食文化論の非常勤講師を務める。

地元の魚介類はもちろん、日本全国から取り寄せている「泉銀」はまるで値札がついた水族館

公開日: 更新日:

常連客は船長とのやりとりを楽しんで買う

 そこにやってきた常連さんに「これ何?」と質問された船長は、「タカノハダイ。磯の香りがつよくておいしい。こういうタイプはアジア系の味つけがすごく合うよ」と説明すると、「じゃあ、試してみる」とお買い上げだ。次から次へとやってきた常連客は同じように魚の質問をしながら品定めして買っていく。皆、この店で魚を学び、船長とのやりとりを楽しんでいるのだ。

「仕入れは漁に出るのと同じ。毎日なにが入るか分かりません。でも、ほかの店と同じやり方では生き残れない。ウチではアカエイやコバンザメも普通に並べますが、きょうはないからウチらしくない品ぞろえですね」

 苦笑いするが、エイなどを買う人がいるの? 「います」と即答してこう続けた。

「丸の魚を買ってさばき方を覚えた人は魚を知って成長して、ほかの魚も知りたくなる。ウチも、知らなかった調理法などをお客さんから学んで一緒に成長できるんです」

 魚の不思議さやおいしさを知ってもらいたいからで、オホーツク海のオオカミウオまで入ると、だれもが驚く。船長は子供が大好きで、輝く顔を見たさに仕入れを楽しんでいるようだ。先日は2メートルを超えるアカヤガラが入荷したという。前述した親戚の仲卸が長崎県産を競り落としたもので、関東でこんな大物はまず見かけない。京都などでは超高級魚。刺し身のほか、椀ダネにもよい。

 浦安に根付く店だけに地元の漁業者を大事にしている。そんな漁師が投網で取るコノシロはシンコ、コハダと成長により呼び名が変わる、江戸前寿司では欠かせない定番ダネだ。

「10月に入るとカツオの心臓のほかに、ホシエイの肝もいいですね。ほかのエイ肝と違い、脂たっぷりのピンク色です」

 店の片隅に乾海苔を見つければ、福田武司さんが育てる行徳・三番瀬海苔じゃないか。これも、買わねば帰れない。

(住)千葉県浦安市堀江3-25-1
(℡)047-713-8274
(宮)木・金・月:午前11時~午後5時30分。土:午前8時~午後5時30分。日:午前8時~午後2時。定休・火・水

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