電気代もドライヤー代もゼロ…“排気口ドライヤー”は使える?
虚飾に依存するがゆえに、敗北した際、素顔の自分と対峙する潔さに欠くのではないか。
人生の経験を重ねてきたシニアだからこそ、そうした「外付けパーツ」で自分を過飾し、不都合を他人のせいにするダサさには敏感でありたい。
「男はだまって腹時計」
金属アレルギーを起こしそうなギラギラした時計など巻かずとも、腹が減ったら飯を食い、眠くなったら寝るくらいでいい。
自分以外の何かに頼って大きくなった気になるくらいなら、余計な飾りをそぎ落とした「生身の自分」で勝負する方がずっと潔い。
外付けの装飾に頼らず、余計なマネーも使わない。電気代もドライヤー代もゼロで髪を乾かし、己の感覚だけを頼りに暖簾をくぐる。
これこそが、令和のシニアがたどり着いた究極の「省エネの美学」ではなかろうか──。
……と、悦に浸りながら酒場のトイレで鏡をのぞき込むと、排気口の猛烈な温風であおられた私の髪は、見事に爆発した鳥の巣のように逆立っていた。手ぐしを通そうとしても、ピクリとも動かない。
さらに、モワッとした生乾き臭とシニア特有の加齢臭が混ざり合い、強烈な異臭となって店内を漂い始めている。隣の客が鼻をヒクつかせ、店員からも微妙な視線を注がれる始末だ。
「おっ、これは使えねえ……」


















