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カモシダせぶん書店員芸人

1988年、神奈川県生まれ。お笑いコンビ「デンドロビーム」(松竹芸能)のメンバー。日本推理作家協会会員。現在、都内の書店でも働く現役の書店員芸人。著書に「探偵はパシられる」など。

作家50人の通常の短編よりも短いSF作品集「ショートショートなSF」日本SF作家クラブ編

公開日: 更新日:

「ショートショートなSF」日本SF作家クラブ編

 書き物の仕事が多いからか、忘れられがちだが、私の本職は芸人である。デンドロビームというコンビを組んでおり、来月3日には初の単独ライブを控えてる。単独なので、自分たち1組だけでネタをたくさん披露するため、今は絶賛ネタ作り期間だ。

 アウトプットするためにはインプットも大事。コントや漫才も一つのお話ではあるので、できるだけ多くの物語、それも一風変わった物語が読みたいなと思ったので本書を手に取った。

 本書は日本SF作家クラブの面々が4000文字以内で書いた通常の短編小説よりも短い「ショートショート」が載っている。総勢なんと50人、これほどの作家陣が一冊に凝縮されてることはあまりないだろう。ちなショートショートSFの名手と言えば星新一。解説でも触れられてるが今年は彼の生誕100年。そんな年にふさわしい一冊とも言える。

 50のショートショートがあるので読む人によって好みが分かれるだろうがここでは私個人が好きだった話を紹介していく。

 まずこの本のトップバッター、筒井康隆「楽天ボウル」。いきなりラスボス級の大物作家の作品からスタート。話はボウリング場でムチムチの女性が球を投げるだけの話でこれがSFになるの? と思って読むと最後は爆発するようにSF。さすが筒井御大。

 続いて私が最近ハマっている作家、赤野工作「ナイジェルによる引継書」。赤野さんは去年出たゲームSF傑作選「遊戯と臨界」がとてつもなく面白かったのだが、今作でもソシャゲの内部事情に、聖人が現れたらという奇想で非常に楽しめた。

 大澤博隆「配慮の衝突」も良かった。行方不明になった9歳の男子。彼と最後にしゃべったロボット家庭教師が警察の取り調べを受ける。本書内で最もミステリー要素が濃く、メッセージ性もしっかりあった。

 このほかにも生成AIの協力のもと書かれた話などもあり全体を通してSF小説の可能性を感じる一冊だった。

 インプットのために読んだので、読後は自分もこういう面白い話をネタでやりたいなとやる気が出た。

 非常にタイパが良い一冊とも言えるので、ぜひ隙間時間に1話ずつ読んで楽しんでほしい。この一冊から新たな推し作家を見つけることもできるだろう。 (早川書房 1584円)

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