ブチャ虐殺の“非人道兵器”「金属製ダーツ」の威力とは? 市民の遺体から判明
400人以上のウクライナ市民が犠牲となったとされる「ブチャ虐殺」を巡り、ロシア軍が“非人道兵器”を使用した疑いが浮上している。
英ガーディアン紙(24日付)によると、ブチャで殺害された市民の遺体から「フレシェット弾」が出てきたという。「フレシェット」とはフランス語で「ダーツ」の意。別名「矢弾」だ。
形状はダーツと同じく、先端がとがり、矢じりが付いている。長さは約4センチ。人に刺さると矢の本体部分が体内でカギ状に曲がり、矢じり部分が分離して新たな傷を負わせるという。
「残虐性の高い武器」
「仕組みは散弾と似ています。戦車砲やロケット砲などの『親弾』に最大8000発のフレシェット弾を『子弾』として仕込み、空中で炸裂させる。金属製のダーツが広範囲に降り注ぐイメージです。無差別に人を殺傷する残虐性の高い武器です」(軍事ジャーナリスト・世良光弘氏)
第1次世界大戦以降に使われるようになり、ベトナム戦争でも米軍が使用。密林の中に潜むベトナム兵を効率よく殺傷するためだ。
国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」によると、フレシェット弾は炸裂地点から地上に向かって幅300メートルの円すい状に拡散するという。近年はイスラエル軍がパレスチナのガザ地区に撃ち込むケースが発生。アムネスティが〈無差別攻撃を禁止する国際法に違反〉と非難している。