著者のコラム一覧
田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

後ろ向き経営の三越伊勢丹にコロナ禍が容赦なく追い打ち

公開日: 更新日:

■多角化で社員が疲弊

 だが、新規事業への急ピッチでの取り組みを求められ、社員たちは心身ともに疲労。不満が限界点を越え、労働組合は石塚邦雄会長(当時)に直談判した。これでは会社組織がもたないと判断した石塚氏は大西氏に辞任を迫り、その後釜に杉江氏を据えたのだった。

 杉江氏は社長に就くと、大西氏による新規事業を次々に凍結。一方、百貨店事業の見直しも進めた。

「杉江さんは本業がなおざりになっていたと大西さんを批判していたのに、フタを開けてみれば、その路線を踏襲しただけだった。不採算の地方店をどんどん閉鎖していき、百貨店事業はますます縮小。その一方で早期退職制度をより強化したんです」

 今や、こうしたリストラ策に反発する社員も減っている。早期退職制度は大幅増額が効を奏し、応じる社員が増えているのだという。

 こうして見ていくと、杉江社長体制のもとでは、前向きな方針がほとんど打ち出されなかったことがわかる。ただ、前出の中堅社員は杉江社長の功績もあると反論する。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々