小沢コージ
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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

価格破壊の上海版テスラ・モデル3 EVの黒船はシレっと上陸

公開日: 更新日:

テスラ・モデル3(車両価格:¥4,290,000/税込み~)

 まさにオマエはスマホか! という進化具合である。そう、いきなり最大156万円の値下げを敢行してきたEV界の黒船、テスラ・モデル3だ。

 きっかけは2月半ば、筆者のところに突如送られてきたEメール。「Tesla Model 3 価格変更のご案内」なる見出しで中身を読んでビックリ。後輪駆動のスタンダードモデルが、いきなり511万円から429万円に82万円の値下げ。4WDのロングレンジモデルが、655万円から499万円の約156万円もの爆下げ。かつて大幅値下げしたガソリン車もなくはないが、テスラのやり方はエゲツない。

 同時にEVで最も大切な航続距離まで拡大しているのだ。性能を上げつつ、価格を下げる。特にエンジン車に比べて最もネックとなる価格を引き下げた効果は物凄い。

外装の精度、クオリティーは確実に上がっている

 裏には、テスラが昨年中国で立ち上げた上海工場の影響がある。労働コストと移動コストを抑えられただけでなく、中国産リチウムイオン電池の採用で原価をイッキに下げたのだ。

 ご存じのとおり、世界はEVシフトの真っただ中。特に欧州と中国の勢いが物凄く、日本は抑え気味。ここにはエンジン車で成功してきた日本勢と、今後EVで巻き返そうという海外勢という側面がある。よって一概に「EVシフト」の勢いを鵜呑みにするわけにはいかないが、常にEVシフト側の動きには注視する必要がある。中でもテスラの動きに関しては要注意なのだ。

 事実、今回上陸した上海版モデル3に試乗すると、興味深いことが分かった。デザイン、外寸、電池容量は変わってないという噂(テスラは詳細を公開せず)なのだが、外装の精度、クオリティーは確実に上がっているのだ。外板のチリ段差は抑えられ、時折ホコリも混じっていた塗装はスムーズになり、内装パネルの精度、建て付けも良くなっている。バスッと閉まるドア開閉音もより上質になった。このように地味でなおかつ販売にジワジワ効く商品改良をガソリン&ディーゼル車はなかなか実行できない。細かい部分まで既に完成しているからだ。

トヨタとて決して侮ってはいけない

 加えてモデル3は、オンラインアップデートにより運転支援の性能なども徐々に上げる予定。まさしく見た目はほとんど変えずにチップやOSの進化で総合力をアップさせていくスマホであり、iPhoneを見ているようだ。

 テスラの脅威は飛び抜けた電動加速感だけではない。まさにスマホ的価値観で性能をドンドン上げ、客に新しいデジタル体験を与えていく部分だ。

 EVは今も電力供給網や充電時間の問題を抱えているが、いままでと違う走る喜びを確実に提供している。コロナ禍でも成績好調のトヨタとはいえ、決して侮ってはいけない存在なのである。

 果たして上海版モデル3、2021年に日本でどれくらい売れるのだろうか。

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