高級食パン店が「いきなり!ステーキ」の二の舞? 消費者の飽きと小麦価格急騰でブーム終焉
食品業界に詳しいマーケティングアナリストの渡辺広明氏が言う。
「タピオカやフルーツ大福といった流行もの“あるある”と言えるでしょう。代表例が過剰出店で客から飽きられ、ブームが去ったことで大幅な退店を余儀なくされたステーキチェーン『いきなり!ステーキ』です。今後は高級食パン1本足打法ではなく、堀江貴文氏プロデュースの『小麦の奴隷』で出すような変わり種のエンタメパンや、流行しているフルーツサンドなども並売しながら、店舗数を縮小していく方向になるのでは」
ブーム終焉は、消費者の飽きだけではないという。コロナ禍からの回復で世界的物価高の中、有数の小麦産地であるロシアとウクライナの戦争の影響もあり、輸入小麦の政府売り渡し価格の高騰(4月は前年同月比で約40%増)も痛手だ。
「もともと非日常感で売っていましたが、そもそも価格と価値が見合っていなかったのが大きいのではないでしょうか。たとえば牛丼並盛りの店内価格1杯400円超の吉野家で、その3~4倍でプレミアム商品を出しても長く売れ続けるのは難しいように、経営者も長く続く商売だと思って始めていないのでは」(前出の渡辺氏)
コロナ禍の巣ごもりで家庭用ベーカリー機が売れているのも無関係ではなさそうだ。今は市民権を得たかに見える高級食パン店は今後、どこへ向かうのか。