トヨタは24兆1042億円も! 膨れあがる大手企業「内部留保」リスト【企業一覧表付】

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 2022年春闘は終盤に入った。岸田政権の賃上げ要請もあり、大手企業では前向きな回答が相次いでいる。その勢いが中小企業に波及するかどうか。4月以降も値上げラッシュは継続する。収入アップが実現しなければ実質的な給与減となりかねない。

 ◇  ◇  ◇

 ウクライナ情勢がサラリーマン給与に打撃を与える恐れは高まっている。戦争勃発で世界経済は激変。原油や天然ガスに加え、小麦・とうもろこしといった穀物価格は上昇し、企業経営を圧迫し始めている。トヨタ自動車や日産自動車、ホンダ、日立製作所、NECなど大手の春闘では「満額回答」も多かったが、ウクライナ情勢によってはボーナスに影響してくる。

「春闘で年間一時金(ボーナス)を決める企業は増えていますが、業績連動型を採用しているところもたくさんあります。企業業績に暗雲が漂っているだけに心配です。ただ、企業の蓄えである内部留保は年々増加しています。簡単には取り崩せないでしょうが、内部留保の使い道を考える必要はあるかもしれません」(市場関係者)

 内部留保という言葉はよく使われるが、正確な会計用語ではなく、一般的に「利益剰余金」を指すケースが多い。これは企業が社内で蓄えた資産の一部で、現金とは限らない。不動産や工場施設、店舗などとして蓄えている部分もあるからだ。

「いずれにしても、企業が長年にわたって積み上げてきた利益です。問題は、その利益を従業員にきちんと還元してきたかどうかでしょう。内部留保は毎年、過去最高を更新しています。ここ数年のコロナ禍でもかなり増加しているのです」(株式評論家の倉多慎之助氏)

9年連続で過去最高を更新中

 財務省の「法人企業統計」によると、直近公表の2020年度末の内部留保(利益剰余金)は484兆3648億円(金融・保険業除く)と前年度に比べ2.0%増だった。9年連続で過去最高を更新している。

 1960年度は1兆7374億円に過ぎなかったが、69年度に10兆円を突破、88年度に100兆円を初めて超えた。以降も内部留保は急速に増加し、2004年度に約204兆円、12年度に約304兆円、そしてわずか4年後の16年度には約406兆円まで拡大している。

「面白いデータがあります。全体の売上高(金融・保険業除く)と内部留保の割合を比較した数値です。1970年代あたりは5%程度だったのに、90年代後半に10%を超え、2010年代に入ると20%を突破します。20年度は35%以上です。なぜ、そんなに増えたのか。考えられるのは派遣社員、非正規社員が急増したことで、従業員の給与総額が減少したためです。この間、企業は内部留保を十分に積み上げられた。いまは、資源高や円安、値上げラッシュなどにより庶民生活が苦しさを増しています。従業員の給与に回す比率を高めるべきでしょう」(倉多慎之助氏)

 実際、大手企業はどの程度の内部留保を確保しているのか。決算資料(2021年3月期ほか20年度決算)などを基に、利益剰余金を調べてみた(金融・保険業除く)。

 最も多かったのは、日本を代表する優良企業のトヨタ自動車で24兆1042億円だった。

 トヨタは桁違いだが、以下、ホンダ(8兆9013億円)、ソフトバンクグループ(8兆8104億円)、NTT(7兆680億円)、三菱商事(4兆4227億円)、KDDI(4兆4090億円)、ソニーグループ(3兆8572億円)と続く。

「上位にランクインしているのは製造業や通信・サービス業、総合商社など幅広いですが、歴史のある大手が目立っています。業績が良くなければ、内部留保も増えません。その意味では日本の産業界をリードしてきた企業ばかりですが、ここまで積み上げたのだから、社員への還元を真剣に考える時期に来ているのだと思います」(前出の市場関係者)

20年度「現金・預金」は17%増の259兆円

 法人企業統計には「現金・預金」の項目がある。1986年度に114兆円(金融・保険除く)と初めて100兆円を突破した。

 その約20年後の2016年に200兆円を超える211兆円となった。直近の20年度は259兆円に膨らんでいる。前年度より38兆円(約17%)も増えた。

「19年度はマイナス0.9%落ち込んでいるので、企業は現金などの手元資金を減少させています。しかし、20年度は一気に増やしました。東日本大震災の影響を受けた11年度はマイナス4%まで落ち込みましたが、コロナ禍も似たような状況なのかもしれません。この先、企業は経営環境がどうなるか不安で、手元資金を一気に増やしたようですが、内部留保や現金・預金は増加を続けています。企業ごとに事情は異なるでしょうが、社員のために放出してもバチは当たらないでしょう」(倉多慎之助氏)

 サラリーマンの平均年収は433万円(国税庁「民間給与実態統計調査」2022年)で、前年より0.8%減った。減少は2年連続だ。

 賃上げの勢いを加速させて欲しい。  

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