楽天グループ株価下落で価値は半値に…“悪夢再来”に気を揉む日本郵政
楽天グループの株価下落が止まらない。6月20日には一時582円と年初来安値を更新。その後も600円前後と昨年末比半値水準での取引が続く。最大の目玉だった携帯通信料金「ゼロ円」プランの今月廃止で加入者離れが進み、「モバイル事業の赤字が一段と膨らむとの警戒感から投資家らが売りを加速させている」(市場関係者)のだ。
こうした展開にひとしきり気を揉んでいるのが日本郵政だ。保有楽天株の減損リスクが顕在化しかねないからだ。幹部の一人も「毎日ハラハラどきどき」と苛立ちを隠さない。
日本郵政が楽天の第三者割当増資を引き受けたのは2021年3月。中国のゲーム大手、テンセントや西友とともに総額2423億円の資本増強に応じたもので、うち郵政は1500億円と最大の資金の出し手となった。物流分野などでの相乗効果を狙ったのだ。
この時の引受価格は1株当たり1145円。その価値が今やほぼ半減である。
国内の会計ルールでは保有有価証券の時価が取得原価より50%以上下がった場合にはその価格に回復の見込みがない限り、原則として減損処理をしなければならないことになっている。仮に楽天の株価が572円を割り込むような事態になれば、郵政は「少なくとも750億円の損失計上を覚悟しなければならない」(金融筋)ことになる。