キリンビバレッジ 吉村透留社長(1)若い頃、醸造についての五感を身につけた

公開日: 更新日:

 キリンビバレッジ社長の吉村透留は、京都に生まれ、愛媛県松山市で育った。父親は化学関連のエンジニア。子供心に“もの作り”への憧憬を、ごく自然と抱いていく。

 高校は漱石の「坊っちゃん」の舞台である松山東高校。正岡子規、秋山好古(陸軍大将)と真之(海軍中将)、高浜虚子、大江健三郎、さらに船田一雄(三菱商事会長)ら、OBは多士済々だ。超進学校だが、9月の運動会とその準備には全生徒が一丸となる。

 東京大学理科Ⅱ類に進み、農学部農芸化学科を卒業してキリンビールに入社したのは1988年4月。配属先は京都工場だった。業界初のミニブルワリー(小規模醸造施設)がちょうど完成し、初代醸造技術者のひとりとなる。いま流行のクラフトビールは、94年の“地ビール解禁(酒税法改正)”から始まる。が、京都工場のミニブルでは、事実上のクラフトビールを造っていた。

 多品種少量の商業生産、試譲機能、技術者育成の場となるが、従前の単品大量生産にはない「ビール文化の面白さ、奥深さを知りました」。日本酒の杜氏がもつような、醸造についての五感(特に嗅覚と味覚)を若い吉村は身につけていく。90年3月キリンが六本木にオープンさせた、直営ビアホール向けの「シラノ」をはじめ、“知る人ぞ知る”少量生産のビールをミニブルはいくつも造り上げていったのだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁