リノベや建て替えに3900億円を要求も…自衛隊施設の「耐震強化」にはまやかしがある
防衛省は来年度予算で施設の耐震強化を進めるとしている。隊員が勤務する庁舎や居住する隊舎について、特に1982年以前に建てられた建物9900棟を重点に耐震強化するのをはじめ、リノベーションや、建て替えに3900億円を要求している。
一見すると良い話に見える。隊員の安全確保と勤務環境の改善だからだ。
だが、実態からすれば必要性は疑わしい。少なくともこの要求額は過大である。
1つ目には対象に幽霊建物まで含むことである。
施設の建て替えでは、前の建物は不要となる。自衛隊ではその建物は撤去する決まりだ。
ただ、実際には残すことも多い。倉庫に使える、解体撤去費がもったいないといった理屈である。
このような建物は幽霊となる。国有財産だが、本来は不要な建物なので維持費はつかない。耐震性が不足する建物の多くはこの類いである。
この幽霊建物にまで予算を投じるのは間違っている。耐震補強よりも、原則通りに解体撤去して更地にすべきだろう。