著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

ダイソーは出資4億円→500億円で回収し大儲けだが…誤算は韓国市場への橋頭堡を失うこと

公開日: 更新日:

 今回の一連の合弁解消で、大創産業は4億円の出資が550億円で返ってくることから、「純投資としてみれば、最高のディールだが、これで大創産業は韓国での市場を失うようなもの。世界展開を志向する大創産業にとっては痛手ともなりかねない」(同)とも指摘される。

 100円ショップとしては国内ナンバーワンの業容を誇る、ガリバー企業・大創産業。2023年9月末時点で国内店舗は4280店舗。国内での1日来店客数は310万人を超え、国内の業界シェアは売り上げベースで6割を超える。海外についても2023年2月末時点では合計2312店舗を有する。毎月800アイテムの新商品を投入し(自社開発商品が約90%)、全商品数は約7万6000アイテムに達する。日本の総輸入貨物量の約1%が大創産業の商品と推定されているほどだ。

 グループ全体で国内外の物流拠点25カ所(約25万坪)を有し、年間約10万本のコンテナを海外から運んでいる。

 海外からの来日客が必ず訪れるのは、「ダイソー」と「ドン・キホーテ」といわれる。インバウンドの旗手「ダイソー」にとって、韓国市場への橋頭堡を失うことは誤算だろう。

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