高齢化進む建設業界で二重三重のひずみ浮き彫り…69歳測量士が安全確保怠った建設会社を提訴

公開日: 更新日:

 高齢化社会が抱える問題がまたひとつ、表面化した。

 建設労働者の男性が12日、労災事故の損害賠償を求め、建設会社を東京地裁に提訴した。原告は測量士の原田信二氏(68)で、建設業界で40年以上働いてきた。被告は元請企業の竹中土木の他、1次下請企業、原田氏の直接雇用先である2次下請企業の計3社だ。

 原田氏は2022年7月21日、千葉県内の建設現場だった険しい山中で測量作業を行っている際にバランスを崩し、左膝骨挫傷を負った。現在も仕事に復帰できていないという。

 提訴後に都内で開かれた会見で原田氏の弁護団が指摘したのは、高齢労働者の労災の急増だ。総務省によると、昨年の雇用者全体に占める高齢者(60歳以上)の割合は18.7%なのに、労働災害による休業4日以上の死傷者数に占める高齢者の割合は29.3%に上った。

 原田氏のケースでは、急斜面の作業にもかかわらず「スパイク付きの靴」などの安全器具の提供がなかった。弁護団は、「身体機能が衰えた高齢労働者への安全対策が不十分だった」と訴えた。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    PR会社社長ダンマリ一転、全部ブチまけ“逆襲”の可能性…note投稿は斎藤知事と事前合意済みか

  2. 2

    斎藤元彦知事の選挙収支報告書で露呈した“隠蔽工作”の跡 PR会社への支出は代表務める政治団体経由という不可解

  3. 3

    杉田水脈がハシゴ外され参院転出に“赤信号”…裏金非公認の免罪符「政倫審」弁明は現職のみ

  4. 4

    不動産投資信託「J-REIT」低迷のワケ…マンションさらに高騰、オフィスも堅調なのにナゼ?

  5. 5

    「日本電解」経営破綻が波紋…上場企業では今年初、再建の道筋いまだ見えず

  1. 6

    自民裏金議員にまた公選法違反疑惑…福島地盤元職の関係先が家宅捜索されたと地元紙スッパ抜く

  2. 7

    企業・団体献金「廃止」を拒む組織内議員の実態…前回参院選直前には労組関連から5.3億円

  3. 8

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  4. 9

    京成電鉄がオリエンタルランド株を一部売却…背景にある英アクティビストとの熾烈な駆け引き

  5. 10

    自民党ニンマリ…参院「裏金議員27人」出席の政倫審をNHKは“9時間”生中継するのか?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 5

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  1. 6

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  2. 7

    豊作だった秋ドラマ!「続編」を期待したい6作 「ザ・トラベルナース」はドクターXに続く看板になる

  3. 8

    巨人・岡本和真の意中は名門ヤンキース…来オフのメジャー挑戦へ「1年残留代」込みの年俸大幅増

  4. 9

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  5. 10

    中山美穂さんが「愛し愛された」理由…和田アキ子、田原俊彦、芸能リポーターら数々証言