「年収106万円の壁」撤廃で年間9.6万円の負担増に…働き控え解消の先に待つのは「雇い控え」

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 老後の年金給付も増えるというが、上乗せされる厚生年金の給付額は年間5万4000円(加入期間10年)。よほど長生きしなければ負担増の元は取れないだろう。

■過去22年で失われた手取りは「51万円」に

 そもそも、03年のボーナスの社会保険料アップを皮切りに、04年の配偶者特別控除の一部廃止、06~07年の定率減税の縮小・廃止、11~12年の年少扶養控除の縮小・廃止などにより、社会保険料の負担はうなぎ上り。ファイナンシャルプランナー・深田晶恵氏の試算によると、同じ額面年収700万円でも、手取り額は02年の587万円から24年には536万円に減少。なんと22年間で51万円も失われているのだ。

「社会保険料は所得税や住民税と共に給与から天引きされる事実上『第3の税金』。年収106万円未満のパート従業員まで負担増の網にかけるのは応能負担の原則に反し、正気の沙汰ではない。課税最低限『103万円の壁』撤廃の議論に便乗した動きで、議論を主導する国民民主党は『消費税率5%へ引き下げ』を総選挙の際は訴えていたはず。すっかり後景に追いやられ、年収の壁だけが消費税減税の論点ずらしに利用されています」(立正大法制研究所特別研究員・浦野広明氏=税法)

「五公五民」の江戸時代の年貢じゃあるまいし、明らかに取り過ぎだ。

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