合意文書交わさず口約束がアダに…見えない自動車関税の引き下げ時期で、国内大手7社の損失は2カ月で2000億円に
日経平均の史上最高値更新も「今のうち」株高
加えて米国の関税交渉を主導するベッセント財務長官は悠長なものだ。日経の単独インタビューに応じ、日本の自動車関税引き下げ時期について「英国は約50日かかった。それより長くなるかも短くなるかもしれないが、ひとつの基準となる」と語っていた。仮に60日かかれば自動車メーカーの損失は約2000億円ほどに拡大してしまう。自動車産業は裾野が広いだけに、日本経済全体へのダメージも計り知れない。
自動車関税の負の影響を考えれば、株価上昇は過熱気味だ。マーケットは今後の混乱を見越し、買うなら今だけ。日経平均の史上最高値更新も「今のうち」株高に過ぎないのではないか。
「関税負担を転嫁する値上げに自動車大手は及び腰です。関税コストの負担が1日30億円もの損失に結びついています。販売台数の落ち込みを懸念しているのでしょうが、ドイツや韓国などライバル国の自動車の関税も日本と同水準。日本車の米国シェアを考慮すれば販売の条件は対等、あるいは有利です。値上げしても勝算はあり、米国の消費者に関税コストを負わせた方が、よりトランプ氏の愚かさに気づいてもらえるはずです」(経済評論家・斎藤満氏)
いい加減な口約束のツケを払わされるのは自動車各社だ。手をこまねいている場合ではない。
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パレスチナ自治区に対し、「国家承認」する動きが相次いでいる。ガザ住民のジェノサイドに拍車がかかる恐れがあるのに、日本政府はアメリカの顔色をうかがい、国家承認に及び腰。●関連記事【もっと読む】『パレスチナ「国家承認」に石破政権が二の足…背景にチラつくトランプ関税の影』で詳しく報じている。