人為的な株高で景気は良くなる? 買っているのは個人投資家ではなく事業法人が中心
こうした企業は中小、下請けに多く、今冬のボーナスは、夏に比べて減額となろう。
景気を測る株価はどうか。日経平均は史上最高値圏で推移している。東証の投資主体別売買動向を見ると、個人投資家は5月、6月、7月、8月(第3週まで)と売り越し。順に、1兆1194億円、6665億円、1兆4083億円、1兆5532億円だった。
一方、買っているのは自社株買いなどに動く事業法人だ。同じく1兆4809億円、1兆72億円、1兆710億円、6645億円と買い越している。
史上最高値の立役者は、東証が事業法人に呼びかけた「株価」を意識した経営。すなわち「自社株買い」の結果であり、人為的な株高で「相場観」ではない。これで景気の先行きが良いと判断できるのだろうか。
24年の経済協力開発機構(OECD)のデータでは、購買力平価を考慮したドルベースの日本の実質賃金は5万ドル程度で横ばい。米国の8万3000ドルとは大差である。
トランプ政権は相互関税に続いて、半導体や医薬品などの関税も引き上げるとみられる。9月は多くの上場企業の中間決算期であり、突然の石破総理の辞任表明もあった。慎重に見極めたい。