「対米投資80兆円」にくすぶるトランプ政権の罠…関税合意に正式署名も波乱含み

公開日: 更新日:

〈全集中の呼吸で目的完遂目指します〉──。日米関税の交渉役である赤沢経済再生相は4日、通算10回目の訪米に向け、自身のXにそう書き込んだ。翌5日(日本時間)、トランプ米大統領が日本車などへの関税引き下げに関する大統領令に署名。今後2週間以内に新税率15%が発効する見通しとなった。赤沢大臣は「鬼の首を取った」ような気分かもしれないが、不安材料は尽きない。

 これまで日本側は、現状27.5%の自動車関税引き下げの早期実現と、15%が上乗せされた相互関税の修正を要求してきた。今回の大統領令署名を受け、自動車関税も相互関税も税率は15%になる。

 懸案事項に解消のメドが立ち、赤沢大臣は記者団に「『やっと』というのが正直な感想」と漏らしたが、安心はできない。トランプ関税の正当性が揺れているからだ。

「大統領令署名にマーケットは好感しましたが、日米間の合意がひっくり返るリスクが横たわっています。米連邦巡回区控訴裁判所は先月、トランプ関税を違法と認定。最終的な判断は連邦最高裁に委ねられました。トランプ氏は、最高裁で敗訴した場合には関税合意を『解消しなければならないだろう』と公言しており、決して手放しで喜べる状況ではないのです」(経済評論家・斎藤満氏)

 トランプ大統領らしい不確実性もさることながら、最大の「罠」は別にある。対米投資5500億ドル(約80兆円)の実情だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本ハム新庄監督がドラフト会議出席に気乗りしないワケ…ソフトB小久保監督は欠席表明

  2. 2

    佐々木麟太郎をドラフト指名する日本プロ球団の勝算…メジャーの評価は“激辛”、セDH制採用も後押し

  3. 3

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  4. 4

    小嶋陽菜はブランド17億円売却後に“暴漢トラブル”も…アパレル売れまくりの経営手腕と気になる結婚観

  5. 5

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  1. 6

    ドラフト目玉投手・石垣元気はメジャーから好条件オファー届かず…第1希望は「日本ハム経由で米挑戦」

  2. 7

    今秋ドラフトは不作!1位指名の事前公表がわずか3球団どまりのウラ側

  3. 8

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  4. 9

    「仮面の忍者 赤影」で青影役 金子吉延さんは週5日の病院通いで「ダイジョーブ?」

  5. 10

    また日本中がブラック企業だらけになる…高市首相が案の定「労働時間規制」緩和指示の醜悪