集団的自衛権報道を吹き飛ばした 謀略の「北朝鮮制裁解除」
安倍首相が3日、北朝鮮に対する独自制裁の一部解除を発表したことで、メディアの報道は「北」一色だ。
「北朝鮮が生存者リストを提示」と日経新聞がスクープしたことも騒ぎを大きくし、「何人帰ってくるのか」などとテレビを中心に色めき立っている。
さっそく拉致被害者家族に取材をかけ、「今回はこれまでと違う」「拉致問題はこれで動く」というコメントを流していた。
「北朝鮮報道で、集団的自衛権のニュースは完全に吹っ飛んだ。安倍官邸の狙い通りですよ」(自民党関係者)
拉致問題の解決に水を差すつもりはないが、今回の安倍首相の前のめりな制裁解除には、集団的自衛権への批判をかわし、落ち始めた支持率を回復させる狙いが見え隠れする。
■不支持率40%台まで上昇
1日に集団的自衛権の行使容認が閣議決定された後、メディアはその中身を報じるだけでなく、文言の曖昧さや戦争をする国になる懸念を論じていた。官邸前のデモは続き、憲法改正の手続きを経ない解釈変更に、世論の反発は依然、根強いものがあった。