沖縄移住した「噂の真相」元編集長が語る「辺野古移転の真相」
知る人ぞ知る「噂の真相」元編集長の岡留安則氏(67)は、04年4月号で同誌を休刊した後、沖縄に移住した。基地問題などに関する執筆活動を続けながら、那覇市内で報道関係者や政財界要人らが集うサロン的居酒屋も経営している。実は昨年秋の県知事選で翁長陣営の知恵袋的な役割も果たした。民意を無視して、着々と進む辺野古移転と、報復措置のような予算カットをどう見ているのか。
――安倍政権は沖縄県民の民意を無視して、辺野古の新基地建設工事をゴリ押ししていますね。
沖縄の民意ははっきりしています。工事が進む名護市長選では去年1月、新基地建設反対の稲嶺進市長が再選され、11月の沖縄県知事選でも「オール沖縄」を掲げた新基地建設反対の翁長雄志知事が誕生、12月の衆議院選挙でも自民党は沖縄の4小選挙区で全敗しました。“安倍路線”は沖縄では連戦連敗、地元の民意は明らかなのです。
――それなのに、というか、だからなのか、というべきか、安倍首相も菅官房長官も知事に会おうともしませんね。
会わないでおいて、記者会見で「粛々と新基地建設を進める」と一方的に発言するわけです。今月6日に翁長知事はようやく官房副長官に会いましたが、「辺野古しかない」と言われただけでした。これでは話し合いも何もない。安倍首相はイスラム国を強く非難していましたが、沖縄から見れば、あの言葉はそのまま首相に返したい。「民主主義が分かっていないのは安倍政権ではないか」ということです。
――民意無視だけでなくて、安倍政権はサンゴの海も破壊しています。ヘリ基地反対協議会のダイビングチームは、沖縄防衛局が設置したコンクリートブロックがサンゴを傷つけている現場を潜水して確認しています。
基地ゲート前で座り込みなど抗議行動が続いているのに、沖縄防衛局は巨大なコンクリートブロックを海に投下するなど工事をどんどん進めています。予定地周辺のサンゴは傷つき、特別天然記念物のジュゴンの餌場(藻場)も工事の打撃を受けているのは確実です。先日、RBC(琉球放送)がジュゴンの空撮に成功しましたが、かなり沖の方にいた。ジュゴンは環境の変化に敏感だから、藻場周辺に近寄れない状況になっているのでしょう。
――“環境破壊活動”に対抗すべく、翁長知事肝いりの「第三者委員会」(委員長は大城浩弁護士)が発足、6日に初会合を開きました。辺野古新基地建設に必要な「埋め立て承認」を検証、瑕疵(法的欠陥)があった場合には「取り消し」、そうでない場合でも「撤回」の方針を翁長知事は示しています。どうなりそうですか。
政府は工事をゴリ押しして既成事実を積み重ねているので、「第三者委員会」はなるべく早めに結論を出して欲しい。初会合では「6月中にまとめて7月上旬に報告」という日程が示されましたが、検証作業をスピードアップ、報告時期を前倒しした方がいいと思います。もちろん仲井真弘多前知事が出した「埋め立て承認」に瑕疵があるのかをきちんと検証する必要はあります。沖縄県が「取り消し」や「撤回」をした場合、当然、政府は訴訟で反撃してくるでしょう。そのため検証を慎重に進めたいのは分かるが、一方で安倍政権は既成事実づくりに突き進んでいる。最終報告前に中間報告を出すなど、小出しでもいいから政府の動きを牽制する“材料”を先手先手で出して欲しいと思います。