「義務を果たせば権利を主張できる」という勘違い
自民党の若手参院議員が「(憲法上の)義務(勤労、納税、子女教育)を果たせば権利(人権)を主張して良い」と発言した。
それで行くと、失業者で子供のいない者は、参政権、表現の自由、信教の自由、学問の自由、婚姻の自由、職業選択の自由、生存権(生活保護受給権)、不当逮捕からの自由等の人権を行使できないことになる。要するに、「死ね!」と言われているに等しい。
しかし、「人権」とは、そもそも「人間」として生まれたそれだけの理由で先天的に与えられたもので、その中核にある価値は「個人の尊厳」である。つまり、人は、単に「人間であるから尊い」のであり、国家に対する義務を果たしたから尊いのではない。
その上で、誰でも、自分が正しいと思う投票行動を行い、自分らしく表現し、自分の好みに従い信心し、自分が選んだ対象と手段で科学し、自分の心に従い結婚するorしない自由を享受し、自己実現の手段として職業を選び、運悪く経済的弱者になってしまった場合には再起に向けて国から生活保護を受ける資格があり、国家権力により冤罪に追い込まれない自由等が保障されている。