GDP0.8%増は大ウソ 日米貿易協定に3つのかさ上げトリック
安倍首相が「ウィンウィンの合意」と胸を張る日米貿易協定。安倍政権は、来年1月の発効を目指して、今月上旬の「承認案」衆院通過をもくろんでいる。が、協定発効によるGDPの押し上げ効果の政府試算には、かさ上げの仕掛けがいくつもあった。
実際には、試算の20分の1に過ぎない可能性がある。
西村康稔経済再生相は10月29日、「実質GDPは、日米貿易協定がない場合に比べ、約0・8%押し上げられ、2018年度のGDP水準に換算をすると、約4兆円に相当いたします」と確定値を発表した。その中に、東大の鈴木宣弘教授(農政)は、数値が上振れする3つの要因を見いだした。
【自動車関税撤廃】
協定では、自動車と自動車部品の関税撤廃が約束されていないのに、試算ではシレッと含ませた。米誌「Inside US Trade」は〈撤廃を仮定してGDP増加効果を計算している〉とズバリ指摘。自動車関税撤廃が含まれないと、発効による日本の経済利益は半減すると推察される。