核兵器開発に役立つ技術 失踪した製造係長は「第一世代」
プルトニウム製造係長 竹村達也さん
ロボット制御を研究していた若者に、精密工作機械会社の元社員で海外で技術指導までした男性――。警察庁の「拉致の可能性を排除できない事案に係る方々」には、竹村達也の他にも軍事技術に貢献できる人材が含まれていた。
では、動燃の「プルトニウム製造係長」だった竹村が身につけていた技術や知識は、北朝鮮の核兵器開発に役立つとしたらどのように使われる可能性があるのか。
私は、旧動燃のプルトニウム燃料部で竹村の部下だった2人の科学者に聞いた。
ひとりは、まずこう断った。
「竹村さんは、原発の燃料にするためのプルトニウムの酸化物を扱っていたが、原爆を造るにはまた別の知識がいる。そんな簡単なものではない」
「仮に竹村さんが北朝鮮に行って、そういう仕事をさせられていたとして、核兵器開発をするには20年はかかるものだと思う」
その上で言った。
「やるとすれば、(核兵器に使う)プルトニウムの取り扱いをやるんだと思う。プルトニウムの金属は温度が変わると結晶形態が変わり、重さも変わる。シミュレーションの計算が非常に難しく誤差が出やすい」